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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:32番のラストステージ(日本大・千葉武)

ゲキサカ / 2023年12月10日 8時24分

「自分はBチームで1年間、いや、ほぼ4年間やってきて、それでもひたむきにやってきたことをスタッフの方々が評価してくださって、こうやって試合に出してもらって、最後にPKも蹴らせてもらって、そういうところを評価してもらえる環境が日大にはあると思うんです。そういう環境があるよという手本を、Bチームの選手たちには良い形で示せたのかなと思います」。4-0と快勝を収めた試合後。応援団の声援に応える千葉の表情には、充実の笑顔が浮かんだ。



 決して順風満帆な4年間を過ごしてきたわけではない。むしろ、悔しい経験のほうが多かったはずだ。それでもこのチームでサッカーと全力で向き合うことができた“2つの要因”を、千葉は次のように話してくれている。

「やっぱり同期と家族の存在だと思います。同期に関しては、みんながいろいろな想いを抱えながらサッカーしてきていたのも知っていますし、そういう想いを抱えながらも一生懸命頑張っている姿を見ると、自分も『目の前のことに屈している場合じゃないな』と思えましたし、あとはもう応援してくれている家族がいるというところで、中途半端な終わり方はできないので、『最後までしっかりサッカーをやり切って終わりたいな』って。ここ最近は同期と家族のことを思いながらずっとやっていました」。

 宮城県出身の千葉は、小学校3年生の時に被災した東日本大震災で母親を亡くしている。それからは父親と2人の兄と固いスクラムを組んで、日々を過ごしてきた。日本大サッカー部の公式noteで、千葉は家族への想いをこう綴っている。「震災で被災した実家の前で、4人で肩を組んでこれから4人で頑張っていこうなと意気込んだ日から本格的にプロサッカー選手を目指し、お父さんに恩返しをすると誓った」。

 何の憂いもなく、大学までサッカーを続けさせてくれた家族への感謝は尽きない。「たぶん一番キツかったのは父だったと思うんです。これから家族をどうしていくかもそうですし、僕たちは3兄弟なので、3人に不自由なくサッカーをできる環境を整えたり、大学に行かせたりというのは、本当にキツかったと思うんですけど、何1つ苦しい顔を見せずにサポートしてくれたので、感謝しかないですね」。

 今でも千葉が心のど真ん中に据えているのは、いつも母親が口にしていたフレーズだ。「父や兄の姿を見ていると、本当に中途半端では終われないですし、それこそ母も『常に全力で』とずっと言っていたので、僕も『やるなら本気で、全力でやりたい』と思ってきましたし、大学でもその教えに従ってきたという感じです」。5人家族の絆が、苦しい時にはいつも自分を支えてくれた。プロサッカー選手にはなれなかったけれど、これからも続いていく人生の中で、その強固なスクラムが崩れることは決してない。

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