DFとして成長中の木吹翔太(広島ユース)が攻守で開幕勝利に貢献。203cmの大器はトップデビューした2人のライバルも刺激に
ゲキサカ / 2024年4月10日 12時1分
[4.7 高円宮杯プレミアリーグWEST第1節 広島ユース 2-0 帝京長岡高 安芸高田市サッカー公園]
4月7日に行われた“高校年代最高峰のリーグ戦”高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST開幕戦。前回王者のサンフレッチェ広島ユース(広島)は、プレミアリーグ初参戦の帝京長岡高(新潟)にホームで2-0で勝利し、連覇に向けて好スタートを切った。
広島DF木吹翔太(3年)は試合後、安堵の表情を浮かべていた。前半から多くのチャンスを作りながらも得点できず、逆にカウンターを浴びてのピンチもあったが、後半25分にオウンゴールで先制し、試合終了間際に追加点を奪って完封勝利。「前半に良い形ができていましたがゴールが決まらず、後半までいってしまった」と反省点を挙げつつ、チームメイトとともに勝ち点3を喜んだ。
苗字の木吹は「コフィ」と読む。ナイジェリア国籍の父と日本国籍の母の間に生まれ、JFAアカデミー福島から2022年に広島に加入。当時199センチの長身アタッカーは、昨年は同期のMF中島洋太朗(3年)とともにトップチームのキャンプ全日程に帯同するなど、クラブから大きな期待をかけられてきた。
一方でユースの指導陣は将来を考えながらポジションの適正を探り、昨年7月からDFで起用。プレミアリーグWESTやファイナルで経験を積み、この日も3バックの右サイドで力強い守備だけでなく、柔らかいボールタッチのドリブルや、一発で局面を変える正確なサイドチェンジなどで貢献した。本人も「DFを始めたときよりも、守備に行くタイミングやボールを持って攻め上がるタイミング、相手との駆け引きが成長していると思う」と手応えをつかんでいる。
199センチだった身長は今年、203センチまで伸びた。1年時はコーチ、2年時からは監督として指導する野田知氏は「あれだけの身長で、伸びしろは間違いなくある」と語る。「プレーの判断などは、もっと向上しなければいけない。まだ体も細い」と課題を挙げつつ、「筋力がアップして思い通りに体を動かせるようになれば、もっとスピードも上がると思う。2メートルを超える身長で素早く体を動かせるようになれば、さらに良くなる。時間はかかるでしょうが、可能性は十分にある」と期待を寄せた。
4月1日にはFW井上愛簾(3年)とともにプロ契約締結が発表された。昨年9月のMF中島に続き、同期3人が早くもプロ契約を締結しているが、この日ユースの試合にいたのは木吹だけ。中島と井上はトップチームで練習しており、ユースの試合終了1時間後に始まった同日の明治安田J1リーグ第7節・湘南戦でそろって控えメンバー入り。井上は試合終了間際に交代でJ1初出場を果たし、中島も第5節の交代出場でJ1デビューを飾っている。
プロの舞台に立った2人との違いを「悔しいですが、良いライバルだと思って刺激になっている」と語るものの、野田監督は「2人はトップチームに行っているのに、自分はここにいる…という(ネガティブな)感じにはなっていない。頑張っているので、継続してほしい」と評価した。本人も「いまの自分にできることがあるので、コツコツやっていきたい」と現状に目を向ける。
キャプテンを任されているが、「キャプテンという感じではないので、声よりもプレーで示したり、サッカー以外のところでチーム全体を見ることを意識してやっていきたい」と意気込む。その上で「自分もトップチームに呼ばれるように成長していきたい」ときっぱり。プレミアリーグWEST連覇、さらに昨年は果たせなかったファイナル制覇を目指しながら、よりスケールの大きな選手への努力を重ねていくつもりだ。
(取材・文 石倉利英)
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