相手をリスペクトした真っ向勝負で静岡学園に3発快勝!神戸U-18が描く頂点へのロードマップに加わる個性豊かな色彩の可能性
ゲキサカ / 2024年4月15日 12時34分
それでも快勝を収めた選手たちに、満足する様子は見られない。2点に絡みながらも自身の得点はないまま、終盤に交代を命じられた濱崎は、明らかに心残りがあるような表情を浮かべて、ベンチへと下がってきた。
「3-0で勝っていて、フルで出られるかなと思ったんですけど、監督に交代と言われて、『点、決めれんかったな……』って。そこは決められた事なので、もちろんチームのことを考えれば『そこはしゃあないかな』とは思いつつ、ゴールを決めたかったですね」(濱崎)。
もちろん安部監督も10番の悔しさは理解していた。ただ、そのベクトルがしっかりと自身に向けられていることもまた十分に察している。チームの勝利を最優先に考えながら、自分の結果にも小さくないこだわりが強い選手たちを、熟練の指揮官は絶妙の手綱さばきでポジティブなエネルギーを発するグループにまとめている。
本来は左サイドでプレーすることが多かったが、チーム事情で開幕からセンターフォワードを任された途端に2試合で3得点をマーク。WESTの得点ランキングトップに立つ吉岡からも、自信にあふれた言葉が飛び出してくる。
「開幕から2点決めたり、今回も1点決めたりと結果を残せていて、徐々に周りからストライカーだと思われ始めているんじゃないかなって。ここからは数字は決めずに、毎試合1点以上は決めたいなと思っています。もう得点王を狙いに行くので、自分の中でもこの調子が止まらないように、頑張っていきたいと思います」。
広がりつつあるチームの総和を実感している安部監督は、「キャラクターの違う選手が今は離脱しているので、そういう選手たちが帰ってきた時に、またバリエーションや厚みが出せるチームになっていったらいいなと思っています」とも話している。
2試合目でもぎ取った今季の初勝利は、あくまでも通過点。2年連続でプレミアWESTの優勝争いを繰り広げながら、ともに2位で涙を呑んだ若きクリムゾンレッドの俊英たちが描く頂点へのロードマップには、まだまだ個性豊かな色彩が加わっていきそうだ。
(取材・文 土屋雅史)
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