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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:真夏の余韻(川崎フロンターレU-18)

ゲキサカ / 2024年8月3日 21時28分

 80+3分。右サイドで柴田翔太郎がボールを持つと、土屋は一瞬でゴールの匂いを嗅ぎ分ける。「柴田が左足で切り返した時は、『もう絶対ニアのあそこにボールが飛び込んでくる』と思いましたし、彼を信じていました」。狙いはニアサイド。懸命に頭で触ったボールは、ゆっくりとゴール左スミへ吸い込まれていく。

「今日は『まだ追い付けるな』という自信しかなかったので、それがあのゴールという形に繋がったのかなと思います。もう感覚です!気持ちで押し込みました!」(土屋)。起死回生の同点ゴール。奇跡的に追い付いた川崎F U-18は、9人目までもつれ込んだPK戦を制して、とうとう決勝へと勝ち進む。



「今年の選手たちは『何かをやってくれる』と凄く信じられる部分があって、群馬で起きたこともまだ信じられないところもありますし、彼らは凄い力を持っているなと思っています」(長橋監督)。ようやく辿り着いた最後の試合。追い求め続けた日本一までは、あと1勝。


 31日。決勝当日。西が丘の上空には黒い雲が立ち込めていた。程なくして降り出した雨は勢いを増し、雷鳴が轟き始める。18時に予定されていたキックオフ時間は、数回の変更を余儀なくされた末に、20時15分までずれ込み、試合は40分間のみで争われることになる。

「自分たちはアクシデントを乗り越えてここまで来ましたし、それに左右されることなく、変わった環境に向かって気持ちを乗せていくだけだったので、最高の準備ができたと思っています」(柴田)。水色のサポーターがゴール裏から大声援を送る中、川崎F U-18の選手たちが雨上がりのピッチに現れる。この夏の『最後の40分間』にすべてを懸ける心の準備は、もう十分すぎるぐらい整っていた。



 試合終了を告げる笛の音が聞こえると、水色のユニフォームを纏った選手たちは、天を仰ぎ、その場に立ち尽くす。信じられない結末を、誰もが一様に受け止め切れない。あと5分、あと5分だけ守り抜けば手が届いていた日本一の歓喜が、その指の間からするりとこぼれ落ちていく。

 19分。G大阪ユース、先制。24分。川崎F U-18、柴田、同点。29分。川崎F U-18、香取、逆転。40+2分。G大阪ユース、同点。40+6分。G大阪ユース、逆転。最後はアディショナルタイムに2点を奪われ、力尽きた。


「悔しいです。優勝させてあげたかったですね」。取材エリアに現れた長橋監督はそう口にして、小さく息を吐いた。

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