認知症の原因物質の蓄積の有無がわかる「アミロイドPET検査」どう活用すべきか
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月9日 9時26分
【第一人者が教える 認知症のすべて】
アルツハイマー病発症の引き金となるタンパク質、アミロイドβ。これが脳に蓄積しているかどうかを調べられる検査「アミロイドPET」を受けられる医療機関が増えています。
当院が開業した2018年には、アメリカでは300を超える施設でアミロイドPET検査を行っているのに対し、日本でアミロイドPET検査を受けられる施設は10カ所未満でした。認知症専門医が担当し、その後の対策と治療を包括的に行っているクリニックとなると、私のところくらいだったでしょうか。
今回は、「アミロイドPET検査をどう活用すべきか」をテーマにしたいと思います。
アミロイドPETは、アミロイドβに取り込まれる性質を持つ放射性製剤を体内に投与し、MRIなどには映らないアミロイドβの沈着の度合いを画像で確認する検査機器です。
冒頭で触れたように、アミロイドβは、アルツハイマー病の発症の引き金になるタンパク質で、アルツハイマー病を発症する20~30年前からたまり始めます。アルツハイマー病患者が70歳代以降に多いことを考えると、40~50歳代からたまり始めるということになります。
ですから、この年代からアミロイドPET検査を受ければ、将来、アルツハイマー病のリスクがどうなのかを、ある程度予想できます(認知症にはほかのリスク因子もありますから、100%予想できるわけではありません)。
「アミロイドPET検査をどう活用すべきか」と申し上げましたが、現在、アミロイドPET検査には、「アルツハイマー病の治療のために用いる」という目的があります。
2023年末から健康保険適用に
2023年12月20日から、アミロイドPET検査が保険適用になった──。こんなニュースを目にした方も多いでしょう。保険適用なら自分も受けてみたいと思った方もいるかもしれませんね。
アミロイドPET検査は、すべての方が保険適用で受けられるのではありません。次の条件に該当した方のみとなります。
・アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症が疑われる患者さんで、レカネマブの投与が必要かどうかを判断する目的がある
・アミロイドβの蓄積を調べる別の検査、脳脊髄液検査を受けていない
レカネマブは「抗アミロイドβ抗体」と呼ばれる薬で、脳内に蓄積したアミロイドβと結合し、減らす働きがあります。これまで対症療法しかなかったアルツハイマー病に対して、進行を遅らせる初の画期的な薬として、昨年の承認以来、一層注目を集めています。
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