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アミロイドβがたまり、最終的に神経細胞死滅や脳の萎縮を招く【第一人者が教える 認知症のすべて】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月16日 9時26分

【第一人者が教える 認知症のすべて】

 アルツハイマー病の発症に至るメカニズムで明らかになっているのは、脳内にたまるタンパク質「アミロイドβ」が関係しているということです。

 アミロイドβはゴミのような存在で、普通は速やかに排出されるのですが、何らかの原因で排出されなくなると、脳内に蓄積され、やがてアミロイド斑という塊になります。ゴミの塊ですね。

 これはやがてタウタンパクという別のタンパク質の蓄積を招き、さらに脳の神経原線維の変化を招きます。すると脳の神経細胞が死滅し、脳が萎縮して、アルツハイマー病発症に至るのです。

 昨年に認可されたレカネマブという薬は、蓄積したアミロイドβを減少させる働きがあります。言い換えれば、アミロイドβが蓄積されていなければ、レカネマブの威力を発揮させられません。そこで、アミロイドβの蓄積の有無を調べるアミロイドPET検査が必要となり、この検査を行う医療機関が増えているのです(まだまだ少ないですが)。レカネマブの使用目的で行うアミロイドPET検査は、決められた条件をクリアした場合、健康保険適用となります。

 私が院長を務める「アルツクリニック東京」では、2018年の開院当時から自費でのアミロイドPET検査を行っています。

 アミロイドPETは、検査機器自体が高額なため、検査費用もどうしても高額にならざるを得ません。当院の場合、アミロイドPET検査は税込み16万5000円。ただし、かつてはもっと高額で、現在は自費でもこれくらいで受けられるようになりました。

アミロイドPETを自費でも受ける意味

 これほどのお金を出して受ける意味はあるのか? レカネマブが登場した今、私はより一層、意味があると考えています。

 レカネマブは、残念ながらアルツハイマー病の中等症以降は対象外となっています。

 すでに神経細胞の死滅が起こってしまっていると、レカネマブを投与しても、認知機能低下抑制の効果が得づらいからです。

 レカネマブの効果は、臨床試験によると認知機能低下を27%抑制するというもの。この結果をもっと高めるために、薬の投与の時期をアミロイドβが蓄積し始めた段階と、蓄積がはっきりと確認できる段階とで比べた場合、どう違いが出てくるのかを調べる研究も行われています。

 アミロイドβの影響を受け始めるよりもっと前から薬を投与すれば、より一層、認知機能低下の抑制を高められるのではないか--。それを確認しようとしているのです。

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