皮膚に現れた「できもの」の正体(1)【皮膚線維腫】蚊に刺されてできた黒く硬いしこりが治らない
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月16日 9時26分
40代後半の記者は、左腕の皮膚の下にある黒く硬い“しこり”がずっと気になっていた。しこりができたのは、10年ほど前。蚊に刺されたところをしつこくかいていたら、表面は治ったものの、その下に直径1センチ弱のしこりができていた。
強く押したりつまんだりしない限り痛みはない。そのため、長年放っておいたのだが、もしかしたらこれが悪性の腫瘍に変化したりするのではないか……と怖くなり、専門医に相談してみることにした。
形成外科専門医・皮膚腫瘍外科指導専門医で、「あきおか形成外科」(大阪府高槻市)の院長を務める秋岡二郎医師はこう言う。
「おそらくそれは『皮膚線維腫』でしょう。医学的に正確に言うと、皮膚腫瘍ではなく、アレルギー反応です。蚊に刺されると赤く腫れますが、数日で治っていきますよね。それが治らないまま持続的にアレルギーが起きている、というイメージです」
皮膚線維腫は、表現としては「腫瘍」だが、病態としては「アレルギー反応」だ。虫刺されなどなんらかの傷が原因でできると考えられているが、はっきりとしたことはわかっていない。多くの人が記者と同じようにしこりができて何年もたってから病院を受診するが、その頃には「なぜそのしこりができたのか」を覚えていないからだという。
「皮膚線維腫であると確定診断が出れば、放っておいても大丈夫です。アレルギー反応ですので、そこから何か別の病気になることはありません。一生そのままの状態が続く人もいますが、何割かは20~30年ぐらいで少しずつ軟らかくなり、治っていくといわれています。ただし、別のできものである可能性ももちろん否定できませんから、病理検査をした方が望ましいと思います」
過度に恐れる必要はなさそうだが、気になる人は専門医に診てもらった方がいいかもしれない。 (つづく)
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