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関心高まる「美容医療」~トラブルから身を守る(3)PRP療法は混合注入に注意

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月4日 9時26分

 顔のシワやたるみが気になる──。近年、アンチエイジング目的の美容医療が増え、中でも需要が高まりつつあるのが「PRP療法」だ。自分の血液を用いた治療法で副作用のリスクが少ないとされているが、注意したいポイントもあるという。日本医科大学付属病院美容外科・美容後遺症外来で診療を行う朝日林太郎氏に聞いた。

 PRP(多血小板血漿)療法とは、再生医療の一種で、採取した血液を遠心分離機にかけ血小板を凝縮し、その細胞を皮膚へ注入して細胞組織を再生する方法だ。

 PRP単独注入はシワの改善に有効とされ、美容医療におけるガイドラインの「美容医療診療指針」上でも「治療を希望する患者には行うことを弱く推奨(提案)する」と記載されている。ただ、注意したいのがbFGF(線維芽細胞増殖因子)を添加した場合だという。

「bFGFは細胞を増殖させるタンパク質の一種で、やけどや床ずれなど難治性の傷に対する治療薬として使用されています。ただ、bFGFとPRPを混ぜると異物反応を起こし、肉芽が形成され肌を膨らませ顔全体にハリを出します。PRP単体の注入では変化が乏しいと判断された際に、混合注入を行うクリニックもありますが、しこりや不自然な膨らみなどの後遺症が数多く報告されています」

 日本美容外科学会が行った調査では、細胞を注入する施術により生じた合併症のうち、約4割はPRPとbFGFの混合だという。

 41歳の女性は、頬のたるみを改善しようと3年前に左頬へPRPとbFGFの混合注入をした。半年前から頬が過剰に膨らむようになり、触ると硬いしこりが生じていたため美容後遺症外来を受診した。

「この女性は、耳の前の部分の皮膚を切開し、しこりを除去すると同時にたるみを持ち上げるフェイスリフト治療を行いました。現時点ではこういった後遺症に対する確実な治療法がなく、一部の美容クリニックで行われているステロイドの局所注射などで改善が見られない場合には、皮膚を切開して異物を除去する治療が必要になるなどのリスクがあると知っておく必要があります」

 2020年に日本美容外科学会が発表した指針では、PRPとbFGFの混合注入は「安易には勧められない」とされている。反対に、大規模な症例集積研究では、PRP単体よりも混合注入の方が患者の満足度が高いとの報告もある。

 後遺症のリスクを知った上で、自分に合った施術を選択したい。 (つづく)

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