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ささいなことでイライラして怒ってしまう…自己嫌悪する患者さん【老親・家族 在宅での看取り方】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月17日 9時26分

【老親・家族 在宅での看取り方】#89

「今日5時ごろ来てくれる! って電話で怒っちゃったけど、ごめんね。年取るとね、ささいなことでイライラして手が付けられなくなっちゃう。子供にも注意されてるのよ」

 当院では診療に伺う当日の朝、何時ごろに患者さんの自宅に到着するのかを連絡しています。その日、とある患者さんのお宅へ連絡をしたところ、たまたま患者さんの機嫌が大変悪く、怒りの声を浴びせられたのでした。

 ところがいざ約束の時間にお宅へ伺うと、患者さんは強く言ったことをひどく悔いていらっしゃいました。

「白内障があるから眼科にも行かないといけなくてね。でも今日行くのか迷ってイラついて、ついきつく言っちゃったの。電話した後で自己嫌悪になってね。最近は特に天気が悪いとイライラしたり暗い気分になって八つ当たりしちゃうのよ。本当にごめんなさいね。いつも連絡くれる子(診療パートナー)いい子なのよ。年取るとこんなことばっかりだよ」

 この患者さんに限らず、認知症や統合失調症など病気の影響で性格が変わってしまうことは珍しくありません。時に暴言を吐かれたり、いわれのないクレームを受け、それにより職員が精神的に疲労することもあるものですが、一方で、この患者さんのようにご本人が反省し、逆に自己嫌悪に陥り精神的に落ち込んだりすることもあるのです。

 もちろん私たちは、そんな患者さんの精神状況も含めて、これもまた病気の断面であることを理解しつつ対応するように心がけています。そうすることがスタッフの労働環境を守り、ひいては患者さんのQOL(生活の質)の向上にもつながるからです。

 ですが現実は、人手不足かつ賃金アップがなかなか見込めず、決して労働環境が良好とはいえない介護・医療業界にあって、やらなければならないことや責任の多さに、理不尽な思いをしストレスをため込んでいるスタッフがいる現状があります。

 特に自宅という遠慮のいらない環境のため、なおさら患者さんも感情の抑制やコントロールが利かず、私たち在宅医療のスタッフに感情を吐露してしまうのではないでしょうか。

 また患者さんのそういった言動に、介護しているご家族の中にも悩まれている方が少なくないと伺います。

 それにはもともとの患者さんの性格もあるでしょうが、前述のように病気や薬のせいであるのかもしれません。また、他に原因があるのかもしれません。感情のコントロールが利かないことに悩まれ、ネガティブな精神状態に陥っている方もいます。

「ささいなことで怒る/イライラする」といったお悩みも、私たちに気軽に相談してほしいと思います。回避できる策を一緒に探しましょう。患者さんやご家族のためはもちろん、私たちが働く上で抱える悩みや問題を解決するヒントにもなるかもしれません。

(下山祐人/あけぼの診療所院長)

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