1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

脳出血が重症で半身が完全麻痺でも本当に回復できるのか?【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月24日 9時26分

 また、退院後は当院の外来リハビリテーションでの通院治療を継続して長期的に機能・能力を向上させていくことと、メンタルサポートを継続して下支えした上で、復職支援事務所と連携して頑張りを見守る方針にしました。

 こうした計画に沿ってリハビリ治療を実施した結果、Aさんは入院後6カ月で自宅退院となりました。入院時、少しボーッとしていた意識状態は、意識清明まで改善。運動機能面では、右片麻痺は入院時の重度の弛緩性麻痺から、退院時には上肢と下肢に少し随意運動が出てわずかに動くようになりました。

 握力も0/23キロから9/30キロまで向上。ただ、手指の利用は難しく、補助手として紙を押さえることができる程度でした。上肢機能訓練は一生にわたって大切で、それを行わないと生活活動を阻害する上肢になってしまいます。このリハビリ治療については別の機会に詳しくお話しします。

 下肢は麻痺が残りましたが、短下肢装具を装着した杖歩行により6分間で265メートルも歩けるようになり、信号も渡れるレベルに向上しました。歩行獲得には、金属支柱付き長下肢装具療法での歩行訓練が必須で、このリハビリ治療も別の機会に説明します。

 重度の感覚障害は残り、表在感覚(触覚、温冷覚、痛覚など)、深部感覚(運動覚、位置覚、振動覚など)ともに脱失していました。しかし、“できるADL”を表すBIは25点から95点まで改善。“しているADL”を表すFIMも38点から111点に向上し、自宅退院が可能になったのです。体重は75キロと6カ月で15キロの減量に成功し、血圧も安定しました。

 精神面に関しては、入院時から礼節が保たれ穏やかで、経過を通して安定していました。高次脳機能面は、注意機能、記憶、遂行機能、修正機能、失認、失行は中等度の低下を認めましたが、退院時には軽度の低下まで改善しました。言語機能面は、入院時は単語と短文だけがわずかに理解できる程度で発語は困難でした。しかし、退院時には単語と短文の理解はほぼ可能、発語と書字も単語レベルで一部可能になり、簡単な計算もできるようになりました。嚥下機能面は、入院時から誤嚥もなく口から食べることが可能でした。

 次回、回復して自宅退院されたAさんが復職に至るまでの取り組みをお話しします。

(酒向正春/ねりま健育会病院院長)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください