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ホタテ漁で栄華を極めた北海道猿払村は中国への輸出停止でどうなった?漁師はメディアに“警戒モード”

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月6日 9時26分

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ホタテの看板が出迎えてくれた(北海道の猿払村)/(C)日刊ゲンダイ

【話題の現場 突撃ルポ】#2

 ホタテ漁で栄華を極めた北の果てにある「日本一の金持ち村」はいま、どうなっているのか──。

 日本最北端の北海道・宗谷岬から南東へ30キロほどのところに猿払村はある。2008年はホタテの水揚げ量が世界一をマークし、年収3000万円超の漁師が続々と誕生。村は「ホタテ御殿」と呼ばれる大豪邸が立ち並ぶセレブビレッジとして知られるようになった。

 ところが昨年8月24日、東京電力が福島第1原発の処理水放出を開始。同日から中国が日本の水産物の輸入停止を決めた。行き場を失ったホタテの消費先を求め、昨年9月、当時の宮下一郎農林水産相が「ひとり追加で5粒、ホタテを食べていただきたい」と、“異例の懇願”をしたのは記憶に新しい。

 冒頭の疑問を確かめるべく、本紙記者は猿払村に飛んだ。

 羽田空港から約2時間で稚内空港、そこからは車での移動になる。「シカ注意」の看板はダテではなく、道路の両脇からエゾシカ、キタキツネ、タヌキの熱烈な歓迎を受けた。急に飛び出してくる個体をかわしながら、命懸けの雪道ドライブの末、猿払村に到着した。

 日が出ている時間帯でも通行人はまったくおらず、どこか寂しい。それがホタテ御殿の存在感を一層、引き立てる。海沿いの「オホーツクホタテロード」の両側に点在する豪邸のサイズは、コンビニを4~6軒ほど連結させた「巨大な箱」。あまりの荘厳さに面食らうほどだった。

 ホタテ漁師のナマの声を拾おうと、とある一軒家のインターホンを鳴らして取材の趣旨を伝えると、「話すことはありません」。別の家を訪ねても、「主人は寝ている」「いや、大丈夫です」「あ~、ちょっと無理ですね」などと、けんもほろろ。そんな中、ある御殿の主が年齢も記さないことを条件にこう言った。

「バラエティー番組などで面白おかしく取り上げられてきたせいで……。村を知ってもらえて良かった部分はありますが、ネットではやっかみの声が少なくありません。しかも、ユーチューバーを含め、勝手に家の景観を撮影する人が増えているので迷惑しているんです。メディア露出したくないのが本音です。収入面にしても、仮に下がっていたら格好のネタにされるし、そうじゃなかったら面白くない人もいるでしょ(笑)。だから、すみません」

 どうやら、メディアに対し、“警戒モード”だという。

分かれる村人の明暗

 漁師以外の村民は中国の輸出停止のあおりを体感しているのだろうか。農業従事者のひとりが言う。

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