塩谷立氏の再審請求は“岸田下ろし”の号砲か…「総裁の道義的・政治的責任も問われるべき」と異例の猛批判
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月12日 15時28分
再審請求した塩谷氏/(C)共同通信社
「恨み節」か「自業自得」か。それとも党崩壊につながる「蟻の一穴」となるのか。国賓待遇で訪米中の岸田文雄首相(66)も落ち着かないだろう。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、「離党勧告」処分となった安倍派(清和政策研究会)の塩谷立衆議院議員(74)が12日、岸田首相あてに再審査を請求した。
「岸田総裁あてに再審の請求書を出させていただいた。弁明書をもとにぜひ再審査をお願いしたい」
囲み取材に応じた塩谷氏は「政治的、道義的責任は当然重く受け止めている。国民の皆さんに不信を招いた点は深くお詫び申し上げたい」としつつ、「今回の問題は党全体の問題」と強調。さらに「その責任を誰が取るのか。岸田総理の責任も問われるべきだと思っています」と訴えた。
■弁明書では「独裁的・専制的な党運営には断固として抗議する」
塩谷氏が4日付で党紀委員長あてに提出した弁明書にはこうある。
「私への処分は清和研のトップだったことも加味されるということですが、私が座長を務めたのは令和5年8月から本年2月1日までの5カ月余りです。令和4年の打合せ時には、私は下村博文先生と共に会長代理に就いていましたが、そもそも、会長代理は、会則に規定された役職ではなく、清和研の運営に関する決定権限がありません。当時の清和研は、会長不在で決定権限を有する者がいなかったことから、複数の幹部で協議して運営を決めていました。ですから、還付への対応の議論に加わった者の責任の有無は措くとしても、議論に加わった他の方と比較して私の責任の方が重いということはありません。」
「まるでスケープゴートのように清和研の一部のみが、確たる基準や責任追及の対象となる行為も明確に示されず、不当に重すぎる処分を受けるのは納得がいかず、到底受け入れることはできません。自由民主党規律規約に規定されている政治倫理審査会における弁明の機会も与えられないまま、総裁も含む党の少数幹部により不透明かつ不公平なプロセスによって処分を実質的に決定することは、党紀委員会を形骸化するものであって、自由と民主主義に基づく国民政党を標榜するわが党そのものの否定であり、このような独裁的・専制的な党運営には断固として抗議するものであります。」
解散したとはいえ最大派閥の座長だった自民党の古参議員が、今の党の体質について「独裁的・専制的」と強く批判しているのだから異例。同党の小泉進次郎元環境相(42)は野党時代、「自由があるから自民党、自由がないのが民主党」と当時の民主党の体質をこう皮肉っていたが、まさに今の自民党は「自由がなくなった」と指摘しているに等しい。
■党内でくすぶる岸田下ろしの火種になるかも…
「国民の政治不信はわが党全体に向けられており、自民党のあり方が問われています。派閥の解消を唱えるだけでは問題の本質を見誤っており、党としての責任、さらには清和研と同様、関係者が起訴された総裁派閥を率いてきた岸田総裁の道義的・政治的責任も問われるべきであります。」
SNS上では、塩谷氏が岸田首相の責任にあらためて踏み込んだことに対し、《この動きが党内でくすぶる岸田下ろしの火種になるかも》《アメリカからご機嫌で帰ってくる岸田さんも真っ青か》といった声が出ているほか、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平(29)の元専属通訳、水原一平氏(39)が大谷の口座から約24.5億円を不正支出して銀行詐欺容疑で訴追されたニュースと絡め、《自民党の二階元幹事長は50億円という巨額の「政策活動費」の使途が不明でもお咎めなし》との投稿もみられた。
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