3月の売り上げ11.2%アップも…インバウンド頼みの外食産業が抱えるジレンマと変化
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月28日 9時26分
ふくれあがるインバウンド(C)日刊ゲンダイ
もはや外食産業は訪日客なしにはやっていけなさそうだ……。
業界団体である日本フードサービス協会が25日に発表した調査で、今年3月の外食産業の売り上げが昨年同月比11.2%増と好調だった。コロナ禍前の2019年同月比でも13.5%増。業界はコロナから回復傾向にある。外出が増えたことに加え、インバウンド需要が旺盛だという。
飲食店向けのサービスを展開するIT企業「TableCheck」の調べによると、昨年10月の訪日客の飲食店予約人数はコロナ禍前の19年同月比229.4%に及び、インバウンド客は爆発的に増えている。一方で、日本人客の予約人数は19年同月比69.8%にとどまった。外食ジャーナリストの中村芳平氏はこう話す。
「コロナと物価高で日本人が外食を控えるようになり、その穴をインバウンド客が埋めています。売り上げは全体の3割から4割程度に及ぶ可能性もあり、外食産業への貢献はとてつもなく大きい。しかも、我々が利用を控えている一方で、外国人客が売り上げに貢献しているので、飲食店は潰れないで経営を維持できている側面もある。飲食店はサービスの方針を外国人向けにせざるを得ず、日本人は後回しになりかねない」
そうなると、外国人客を前提に高額な価格設定がされたり、客層が外国人ばかりで居心地が悪くなったりするなど、結果として日本人が飲食店を利用しづらくなる恐れがある。しかし、こんなケースもある。
「ある居酒屋チェーンは、外国人客とトラブルになることが多いお通しをやめ、代わりに席料を取ることで、物価高でも商品の価格を維持した。外国人客はチップの文化が浸透しているので席料に抵抗感がなく、日本人にとっても勝手に出てくるお通しがなくなり、値段そのままで飲み食いできるメリットもあります」(中村氏)
思わぬところで良い変化が生まれることもある。
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