白井貴子さんが語るモントリオール五輪女子バレー「金メダル」と“ひかり攻撃”誕生秘話
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月24日 9時26分
バレーボール元日本代表の白井貴子さん(C)日刊ゲンダイ
白井貴子さん(バレーボール元日本代表/72歳)
26日にパリ五輪が開幕する。今大会は球技でのメダル獲得の期待が高まっているが、そのひとつはバレーボール。男女ともメダルの可能性があるといわれているが、女子は金メダル獲得なら1976年モントリオール大会以来実に48年ぶり。エースアタッカーだった白井貴子さんが金メダル獲得までを語る。
64年東京大会で日本代表はご存じのように「東洋の魔女」といわれ、金メダルを獲得しました。続く68年メキシコ大会、72年ミュンヘン大会と連続して銀メダルでした。だからモントリオールの時は「新東洋の魔女」といわれました。
東京五輪の時はまだ12歳。女性がブルマーをはいて、人前でプレーしている姿を見て驚きました。なんて格好してるんだろうと思いましたね。バレーボールを始めたのは中2の14歳。クラスで将来の夢を発表した時に、私は何の根拠もないのに「五輪に出て金メダルを取る」と言ってたんですよ。その頃から身長が高かったので(後に180センチ)、周囲に期待されていた面はあります。ただ、日本代表になって金メダルを取ることができるのは24歳の時かな、でも、それまでの8年、9年は長いと考えて、取るなら20歳で迎える72年ミュンヘン大会と決めていました。
そこからはもう二転三転の連続です。高校はバレーで知られた片山女子高に特待生で。五輪代表になるには高3の18歳で実業団に目をつけてもらわないといけない。だけどその頃の片山はガタガタでメンバーも足りないような状態。そんな中でたまたまインターハイ予選で来ていた実業団の倉紡の白井省治監督が私を見て「高校を出たらうちに来ないか」と言ってくれたというのです。
その縁で倉紡に入ったのはいいけど、ありえないことばかり。その頃の倉紡は会社がオイルショックで傾き、チームも弱くなっていた。こんなチームでやっていても日本代表の夢はかなわないから辞めることばかりを考えていました。
私は白井監督に見込まれ、養女になって、倉紡の寮に入りました。紅白試合をやることになっていた日のこと。カゼをひいても熱が出ないたちなので、カゼなのに大丈夫といわれて試合に出ました。頭はグラグラなのに、です。その日に限って母と姫路に嫁いでいた姉2人が試合を見に来ていたので張り切ったんですね。転んで起き上がろうとしたら左腕を踏まれ、捻挫した上に骨折しちゃった。
私は失神してそのまま救急車で病院に運ばれました。それから4週間は家に帰ってギプス生活です。捻挫して腕はパンパンに腫れあがり、ギプスで固められ、痛くて夜も眠れない。4週間後にやっとギプスが取れたと思ったらビックリ。腕が細くなって半分くらいになっていた。
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