既往症・持病持ちの治療(3)心筋梗塞の既往症がある肺がん患者はどうすればいいのか
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月11日 9時26分
■検査で薬の選択肢が変わる
高齢なので、がん治療そのものにリスクがあるのも分かる。治療を前提とした肺がん検査において気管支鏡検査が望ましいのも理解できる。しかし、既往症によるリスクがあるからといって気管支鏡をあきらめ、「何もしない」と判断するのはどうなのか?
現在、がん治療に使われる薬は大きく分けて3つある。「殺細胞性抗がん剤」「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害剤」だ。殺細胞性抗がん剤はがんのDNA合成や細胞増殖を阻害することでがん細胞を殺す。分子標的薬は、がんが持つ特定の分子に働きかけてがんの成長を邪魔する。免疫チェックポイント阻害剤は、がんが持つ宿主の免疫回避の性質を阻害する。
「今のがん治療は細胞の種類や性質によって薬が選択されます。だからこそ気管支鏡などを使った組織検査による確定診断が重要視されるのです。細胞診だけでは、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を使うために必要な情報を得る検査ができません。主治医は、細胞診で使える範囲の抗がん剤ではこの患者さんに効果が望めず、逆にマイナスとなると判断したのかもしれません」
では、今回のケースはどうすればいいのか? 土岐院長によると、全身を検査してがんの広がりを調べるとともに、心臓の状態を循環器科で確認。その上で、患者の気管支鏡検査の可能性を複数の医療機関に照会するなどして再度検討し、治療方針を決める必要があるという。
「自分の病院で無理な場合は別の施設を紹介し、気管支鏡検査の可能性を含めて相談します。状況により、転移がなく単発の腫瘍なら手術も考慮します」
胸水が一定量たまっていれば、胸水検査で分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を使うために必要な検査ができる場合もある。その状況になるまで経過観察することもあるという。
むろん、がんによる痛みなど生活に支障がある症状があるなら、症状の緩和を優先して確定診断なしで治療を優先する。
「最終的には主治医と相談し、患者さんの希望や意向をくんだ治療ができればいいと思います」
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