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既往症・持病持ちの治療(3)心筋梗塞の既往症がある肺がん患者はどうすればいいのか

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月11日 9時26分

既往症・持病持ちの治療(3)心筋梗塞の既往症がある肺がん患者はどうすればいいのか

写真はイメージ(C)iStock

 がん治療を行うにはがんの確定診断が必要だ。しかし、持病や既往症によっては検査ができずに確定診断に至らないケースがある。そのときどうすればいいのか? 今回は心筋梗塞の既往症がある肺がん治療について考えたい。温熱療法によるがん治療を手掛ける「東京府中ときクリニック」(東京・府中市)の土岐敦院長に話を聞いた。

 80代男性は一般のエックス線検査で2センチ大の腫瘤状の影が右肺下に見つかった。肺がんが強く疑われた。軽いサルコペニアと認知症、持病に心筋梗塞の既往と狭心症があり、気管支鏡検査が難しいと判断された。

「患者さんのご家族によると、主治医からは『がん治療をするには気管支鏡検査が望ましいが検査中に狭心発作や心筋梗塞を起こす危険がありお勧めできません。患者の年齢と既往歴からも、がん治療は負担が大きく寿命を縮める可能性があります。現状では何もすることはありません』と言われたそうです」

 患者本人は「年だから」と言い、表面上は医師の提案を受け入れたように見えたが、本心は別。「手術は嫌だが薬による治療はしたい」と考えていた。家族も主治医の説明に納得できなかった。

「がん治療を始めるには、まずエックス線検査で見つかった影ががんであることを証明しなければなりません。そのためにがん細胞を採取する必要があります。肺がんでは、がんの組織・細胞を採取するのに気管支鏡を行うのが一般的。気管支鏡は、直径5ミリ程度の内視鏡で、それを気管支へと挿入します。検査中の苦痛を和らげるため嘔吐反射を抑えるようにし、鎮静剤を併用することもあります。検査中に不整脈を起こすこともあり、心電図モニターをつけて検査を行います」

 実際、心筋梗塞後の患者の気管支鏡検査は不整脈や虚血発作のリスクを上昇させる。年齢により気管支鏡検査の適応が制限されることはないが、60歳以上が行うと虚血性の心電図変化が発生しやすいとされ、心筋が虚血状態にあると判断されるときは気管支鏡検査は行わない方が望ましいとされる。

 気管支鏡検査が難しいと判断された場合は別の検査方法が検討される。例えば痰に含まれる細胞を調べる細胞診で診断がつくこともある。ただ、がん細胞が確認されないことも多く、確認されても十分な細胞が採取できないケースがほとんどだという。

「胸に針を刺して胸水を採取し、そこでがん細胞が確認されることもあります。しかし、胸水に含まれる細胞が少なければ必要な情報を得られない場合もあります」

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