【タイ】100周年を迎えるホアランポーン駅 タイ国鉄も転換期か
Global News Asia / 2016年6月24日 11時0分
2016年6月25日、戦前戦後のタイの大量輸送の業界を支えたタイ国鉄の中央駅であるグルンテープ駅、通称ホアランポーン駅が、現在の場所に駅舎が移転してから100周年を迎える。
タイ国鉄は大きな転換期がほとんどなく、旧態依然としたシステムで運営されてきた。そんなタイ国鉄も高速鉄道の建設を計画したり、このホアランポーン駅の中央駅としての機能をやや北にあるバンスー分岐駅に移転させるために工事が進めているなど、かつてない規模の転換期を迎えている。100周年を迎えながらも、あと数年でホアランポーン駅は中央駅ではなくなってしまうのだ。
タイ国内外にいるタイ鉄道ファンたちはこのホアランポーン駅の姿に魅了されており、中央駅としての役目が終わると同時に取り壊されるのではないかという不安を感じている。
タイ人はあまり古いものにこだわらない性質がある。例えば、100年以上の歴史があるバンコクの中華街も現在、地下鉄工事で発展を期待する地元住民らが古い建物や伝統、景観を壊してでも新しいものに建て替えてしまっている。新たな時代に期待を寄せているため、古いものは不要と考えているようである。そんな状況を目の当たりにすると、ホアランポーン駅も取り壊されてしまうのではないかという声が上がっているのは当然でもあると感じる。
これに対してタイ国鉄の広報部は、「バンスー駅に機能を移転しても、バンコク駅-バンスー駅間にも数駅ほど地元民が利用する駅があるため、取り壊しはできないと考えています。バンコク駅の本数自体は大幅に減りますが、移転以降も駅としては利用し続ける方針です。あくまでも今の計画ですが」と答えている。
しかし、タイ国鉄は運賃が非常に安いため、常に資金難にある。そのため、機能しなくなったものを切り捨てる決断は素早い。現在のタイ国鉄の意向はそうであっても、現在の長官から違う人に変わってしまえば方針もがらりと変更される可能性もある。
ホアランポーン駅が100周年を迎えながらも、あと数年で役目どころか、その姿自体がなくなってしまう可能性がある。歴史ある駅舎の端々には歴史を感じさせる部分がたくさん見られる。100周年を機会にぜひホアランポーン駅を今一度訪れていただきたい。
【執筆 : 高田胤臣】
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