幸せの白い飛行機
Global News Asia / 2024年2月20日 7時0分
2024年現在の情報はない。けれど過去でも見られたらラッキーというくらいの珍しさだったから、報道陣が捉えられなくっても、どこかの海にいるかもしれない。
「真っ白いクジラ」。2015年には確認された。2011年には親子で確認された。オーストラリアの海にいるザトウクジラの一種。人間もそうだが、もともとの遺伝子に異常があって、いわゆる「普通」とは違う場合がある。このザトウクジラは、メラニン色素に異常があったようで、白い体になった。
それでも、その珍しさを小説(ハーマン・メルウィル「白鯨」)のように悪とはとらえず、見られたことを出会えたことをハッピーだと思うことが、私たち人間にはできる。
3月までの期間限定だが、フィリピンには「真っ白な飛行機(エアバス)」が飛ぶ。(その後の運用は非公表)
通常、機体には会社の名前や、スポンサーのラッピングなどが描かれていたりする。私たちの頭の中にはそれが当たり前すぎて、この「真っ白な飛行機」を見たとき、頭の中も空白になる。色即是空(しきそくぜくう)に近いかもしれない。
手の内を明かすと、フィリピン最大の航空会社セブ・パシフィック航空は、ブルガリア航空からのリース。だから、なにも描けないし、3月までしか飛ばないという面白味のないお話になる。
だが、この珍しさに、マニラ、ダバオ、セブの空港でこの「真っ白な飛行機」に出会った人々は、ものすごい幸福感を覚える。たいていの人がスマホに収める。
どこまでも青いフィリピンの空を、真っ白な飛行機が飛ぶ。そこに乗ることができた乗客もそうだが、飛行場で、街で、フィリピンのあちこちで見かけた人の心は「幸せ」に包まれる。純粋無垢。空はどこまでも自由だ。私たちに不可能なことなどなにもないような気持ちになる。
2月2日には、飛行機はマニラ空港沖に止められていた。ターミナルから離れた駐機場にバスで向かう。そして21世紀の今では珍しくスロープをあがっての搭乗だった。
いろんなデザインで彩られた飛行機も悪くはないが、「真っ白い飛行機」はそれだけで幸せな気持ちになることができる、空飛ぶ幸運の白いクジラなのかもしれない。
【編集 : fa】
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