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コーヒーの味は「ドリッパー」が決める!専門家がすすめる“形状”や“素材”とは

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月9日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

ドリッパーひとつとっても、円すい型に台形型…その種類はさまざまです。どの形状を選ぶかによって、お湯の抜け具合や抽出の難易度が変わり、味にも変化が出るとコーヒー抽出士の畠山大輝氏はいいます。家庭でも挑戦できるおいしいコーヒーの淹れ方について、畠山氏の著書『至高のコーヒーの淹れ方』(エクスナレッジ出版)より詳しく見ていきましょう。

ドリッパーで味の方向性が変わる

スペシャルティの世界では「円すい型」が流行り

ご存じのとおりコーヒーの味は、使うドリッパーによっても変わります。

ドリッパーは、大きく2つの視点で考えると選びやすくなります。1つは、形状の違い、そしてもう1つは、素材の違いです。

まず形状の違いですが、円すい型、台形型、円筒型と呼ばれるものが代表的です。形状が違うことによって、お湯の抜け具合や抽出の難易度が変わってきます。

円すい型は、下に大きな穴が1つ開いていて、お湯抜けがとてもスピーディです。お湯抜けとは、お湯を入れたときにそれが下に落ちる速さのこと。

円すい型はお湯がサッと抜けるので、そのぶん抽出をコントロールしやすいのですが、いっぺんにザバッとお湯をかけてしまうと、すぐ抜けてしまって、コーヒーが少し薄めに仕上がってしまいます。そのため、このドリッパーを使うときは、基本的には何回かに分けて注ぐという淹れ方が主流になります。

円すい型のドリッパーは世界的にもポピュラーで、スペシャルティコーヒーの店では使っているところが増えているので、お店でコーヒーを飲んだり、豆を買ったりする際に、淹れ方のアドバイスを聞いてみるのもいいと思います。

代表的なメーカーは、ハリオコーノCAFECです。私はいつもCAFECの「フラワードリッパー」を使用しています。2019年のハンドドリップチャンピオンシップも、このドリッパーを使って優勝しました。

「フラワードリッパー」には、おすすめのポイントが2つあります。

1つ目は、お湯抜けが非常に速いので、抽出のコントロールをしやすいという点。

2つ目は、リブ(ドリッパーの内側に刻まれた溝)が深いので、蒸らしの際にペーパーフィルターが少し外に膨らんで、その分、蒸気がすき間から抜けやすくなり、効率的に粉を蒸らすことができます。

「台形型」ドリッパーは抽出にブレが出にくい

次は、台形型のドリッパーです。

台形型タイプは底に小さい穴が開いていますが、この穴の数が1つ、2つ、3つなど、製品によって異なります。この穴の数や穴の大きさによってコーヒーが下に落ちるスピードに違いがあるので、それに合わせてちょっとゆっくり注いだり、ちょっと速く注いだりなどのコントロールが必要になります。

いずれにしても、円すい型に比べてお湯の落ちるスピードがゆっくりめになるので、ドリッパー内にお湯が留まる時間が長く、そのぶん抽出にブレが出にくい(毎回、同じように抽出しやすい)というメリットがあります。その半面、円すい型に比べると、お湯の量を細かくコントロールして味を調整できる幅は小さくなります。

ただ、台形型のドリッパーは、カリタをはじめとてもポピュラーな存在なので、ドリッパー自体はもちろん、ペーパーフィルターを手に入れるのも簡単です。フィルターを切らしたときに、近所のスーパーやコンビニで買えるというのは、とても大きな強みです。

円すい型や台形型、円筒型など、ドリッパーにはいろいろな形があります。形やお湯が抜ける穴の大きさ、数によって抽出に特徴が出ます。私が普段使うのは円すい型の「フラワードリッパー」(写真1・中央)です。

メリタの台形型ドリッパーは、底に小さな穴が1つしかなく、ほかのドリッパーに比べてお湯抜けがゆっくりになります。1投式、もしくは2投式でお湯を入れるのが基本なので、細かなテクニックを使う必要がありません。

台形型のドリッパーでおすすめなのがメリタです。このドリッパーは、底に小さな穴が1つしかないので、お湯抜けの速度がとてもゆっくりになります。基本的に1投式もしくは2投式で抽出するので、やかんなどでお湯を沸かして、そのままザバッとお湯を入れるだけでも、比較的おいしいコーヒーが出来上がります。

まだドリップポットを持ってないとか、ハンドドリップはまったくの初めてといった方にもおすすめできるドリッパーだと言えます。

「円筒型」のドリッパーはややマニアック

もう1つは円筒型と言われるタイプです。家庭用、業務用としてはカリタの「ウェーブシリーズ」が有名です。

ほかのタイプは基本的に底のほうがすぼまるような形をしていますが、円筒型は底面がフラットになっています。粉が広がる分、粉の層は薄くなります。

粉の層が薄くなると、お湯の抜けが速くなったり、均一に抽出しやすかったりなどのメリットがあります。特に、抽出後半のお湯抜けがいいので、雑味などを出したくない場合は、有効なドリッパーだと言えるでしょう。

ただし、円筒型は、使われる材質や穴の大きさで、お湯が落ちるスピードがガラッと変わってしまいます。カリタのウェーブシリーズにも、ガラス製や陶器製、ステンレス製など、いろいろな素材のモデルがあり、それぞれに合った使いこなしが必要です。

そのため、中級者以上か、ちょっとマニアックにこだわって淹れてみたいという場合に、満足感が高いドリッパーと言えるのではないでしょうか。

また、ウェーブシリーズに関しては、専用のフィルターをオンラインショップか専門店で買うことになるので、その点もややハードルが上がります。

普段使いのドリッパーは樹脂製がおすすめ

ドリッパーの素材についても話しておきましょう。

素材にはさまざまな種類がありますが、よく目にするのは樹脂、陶器、磁器、セラミック、ガラス、金属などです。金属にはステンレスやアルミ、銅などがあります。

ほかにも、携帯のしやすいシリコンドリッパーやウッドの削り出しドリッパー、竹細工で作られたドリッパーなども存在します。

これらは正直、見た目や質感、使い勝手などで、好きなものを選ぶのがいいと思います。ドリッパーはドリップポットと並んで、コーヒー器具の主役と言えるものだからです。

ただ、普段使いの道具としては、なんと言っても樹脂製がおすすめです。

それは、気温にあまり左右されないことと、割れにくいので扱いやすいことが挙げられます。また、1,000円以下で買える値段も大きな魅力です。

初めてドリッパーを買う人は、まずは樹脂製を使ってみて、そこから2個目、3個目として陶器や金属などのドリッパーを買い足していくのがいいと思います。

陶器や金属、特に銅製のドリッパーは、見た目も雰囲気があって、淹れていてもすごくおいしそうに見えます。気分も高まるので、使いたいというのもわかります。

ただ、陶器や金属のドリッパーは、物質特性と重量の関係によってドリップするお湯の熱を奪いやすいので、注意が必要です。ドリップ中にお湯の温度が急激に下がってしまうと、意図した湯温での抽出ができなくなってしまうからです。

陶器や金属のドリッパーを使うときは、あらかじめ熱いお湯をかけるなど、しっかりと予熱を行うことが大事だということを覚えておきましょう。

合わせて知りたいフィルターの選び方

ドリッパーと合わせて話しておきたいのが「フィルター」です。

フィルターには、ペーパー、金属、ポリエステル、不織布、布など、いろいろな種類がありますが、日常的に使ってほしいのはペーパーフィルターです。初期費用がとても安いことと、使い捨てなので、手間がかからないのがおすすめの理由です。

いくら安くて扱いやすくても、味がだめなら意味がないのですが、そんなことはありません。ペーパーフィルターで抽出したコーヒーは、非常にクリアで透き通ったような印象と、すっきりした味わいが特徴です。

ペーパーフィルターには、酸素漂白処理の有無や紙の構造、素材、原材料などの違いがあって、それらがコーヒーに影響を与えます。

まず、いちばん質問されることが多い漂白と無漂白との違いですが、基本的には漂白タイプを選べば間違いありません。かつては、漂白剤の香りや漂白剤の薬剤が少し残って、それがコーヒーの味に影響を与えるのでは?ということで敬遠される場合もありましたが、最近の技術ではそういうことは起こりません。むしろ紙そのものの匂いが少ないということで漂白されているタイプを選ぶのがおすすめです。

むしろ、無漂白の茶色いタイプは、個人差はあるかもしれませんが、ペーパーの匂いが強く出てしまうことが多いように感じます。私の場合、ペーパーの匂いがコーヒーに入ってしまうと、コーヒーの香りを繊細に感じることが難しくなります。

次にペーパーの構造ですが、ペーパーには、表面がツルツルしているものとザラザラしているものが存在します。

このザラザラは「クレープ構造」というもので、表面にちりめん状の凹凸があります。これによって表面積が広くなり、微粉などの目詰まりを起こしにくく、抽出の最後まで透過スピード、つまり「お湯抜け」がいい状態をキープすることができます。このクレープがしっかり入っていることが、私の抽出の決め手になっています。

いろいろなメーカーのフィルターを使ってきましたが、最も気に入っているのはCAFECの「アバカフィルター」の漂白タイプです。クレープがしっかり入っており、お湯抜けがいい状態を最後まで保てるので、抽出をコントロールしやすく、紙の匂いも少なめです。ハンドドリップやブリュワーズなどの競技会でも、このフィルターを愛用しています。

ペーパーフィルターは抽出の決め手

ドリッパーには漂白タイプ(右)と無漂白タイプ(左)があります。漂白タイプのほうが紙の匂いが気になりません。

アバカ(マニラ麻)とパルプを使ったアバカフィルターは、紙の両面に目の揃ったクレープ構造があることで、抽出の最後まで比較的お湯抜けがいい状態をキープできます。

畠山 大輝

Bespoke Coffee Roastersオーナー

コーヒー焙煎士/コーヒー抽出士

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