1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

年金は「いつ受給する」のが得か?年金の繰上げ・繰下げ受給「額面と手取り額」の損益分岐点

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月2日 10時15分

写真

日本の公的年金制度。細かな決まりごとが多く、知っていると知らないでは、大きな差となることも珍しくはありません。今回は年金の「繰上げ受給」「繰下げ受給」について考えていきます。

最大24%減の「年金の繰上げ」と、最大84%増の「年金の繰下げ」

最近、よく耳にする「年金はいつからもらうのが得か」という議論。そのカギを握るのが、「年金の繰上げ受給」と「年金の繰下げ受給」です。

老齢基礎年金・老齢厚生年金の受取年齢は原則65歳。希望して、60歳~65歳になるまでの間に受け取るのが「年金の繰上げ受給」、66歳~75歳までの間に受け取るのが「年金の繰下げ受給」です。

年金の繰上げ受給は、1ヵ月年金をもらうのを早めるごとに0.4%減額となり、最大24%の減額となります。そのほかのポイントは大きく4点。

①一度繰上げて年金の受給が始まると、取り消すことはできません。一生、減額された年金が続きます。

②繰下げ受給では老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰り下げることができますが、繰上げ受給は、老齢国民年金と老齢厚生年金、同時でなければなりません。

③繰上げ受給をすると、国民年金の任意加入はできなくなります。国民年金に未納があっても、年金を増やすことができなくなります。

④老齢基礎年金を繰上げ受給すると、65歳に達したとみなされ、65歳未満が対象の障害基礎年金がもらえません。また妻が寡婦年金を受け取っているときに繰上げ受給を始めると、寡婦年金を受け取る権利もなくなります。

繰下げ受給では1ヵ月年金をもらうのを遅くするごとに0.7%増額となり、最大84%の増額となります。そのほかのポイントは大きく4点。

①年金額が増えることで、税金や社会保険料も増えます。思ったほど年金が増えない、と感じることもあるでしょう。

②繰上げ受給では老齢基礎年金と老齢厚生年金に繰り上げなければなりませんが、繰下げ受給では片方だけを繰り下げることが可能です。

③加給年金や振替加算、特別支給の老齢厚生年金は繰下げ受給の対象外です。また加給年金や振替加算は、年金を繰り下げている間はもらうことはできません。

④年金の繰下げ中に亡くなり、遺族が遺族年金を受け取る場合、遺族年金の計算は65歳時点の金額で計算します。遺族は繰下げ受給の恩恵を受けることはできません。

年金の繰上げ・繰下げ…額面と手取りで考える「損益分岐点」

繰上げ受給と繰下げ受給で議論されるのが、「繰り上げたほうが得」「いや繰り下げたほうが得」という議論です。

そこでよく言われるのが「損益分岐点」。厚生年金受給者の平均受取額は、併給の国民年金と合わせて月14万4,982円。年間受取額174万円だとして考えてみます。

仮に60歳まで繰り上げて年金の受け取りを開始すると、80歳10ヵ月で65歳で年金を受け取ったほうが得ということになります(関連記事:『【早見表】年金はいつ受け取るのが得?「額面」と「手取り額」の損益分岐点』)。

仮に75歳まで繰り下げて年金の受け取りを開始すると、86歳11ヵ月で、65歳で年金を受け取るよりも得することになります。

ただし、これは額面で考えた場合。年金は雑所得なので課税対象。手取り額は額面のおよそ85~90%程度になります。また居住地や家族構成など、人によって損益分岐点は変わります。仮に「東京都在住・独身・扶養家族なし、収入は年金のみ、所得控除は基礎控除と社会保険料のみ」だとすると、60歳まで繰り上げたときの手取り額で考える損益分岐点は82歳2ヵ月、75歳まで繰り下げたときの手取り額で考える損益分岐点は89歳2ヵ月になります。

厚生労働省の『令和4年 簡易生命表』によると、男性の生存率が50%を下回るのは「81~82歳」にかけて。つまり年金の総受取額で考えると、65歳で年金を受け取るよりも、繰上げ受給したほうがダンゼン得。また繰下げ受給するなら68歳まで。それ以上、繰り下げるなら長生きしない限り損をすることになります。

ただ、結局は人の寿命は誰にもわからないもの。損か得かは、単に金額だけでは図れず、人それぞれライフスタイルや考え方によるところが大きいでしょう。

――いつまで生きられるか分からないから、早く年金を受け取りたい

――いつまで生きられるか分からないから、受取額は多いほうがいい

――年を取って病気をしてしまっては、年金額が増えても意味がない

――年を取って病気をしたときのために、年金額は多いほうがいい

これらはすべて、その人にとっての正解。色々と語られる年金の損得分岐点は参考に、自身が受け取るベストタイミングを検討することが、最も後悔のない方法だといえそうです。

[参考資料]

日本年金機構『年金の繰上げ受給』

日本年金機構『年金の繰下げ受給』

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください