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年間9,302億ペソの経済効果!フィリピン初の地下鉄プロジェクト「マニラ首都圏地下鉄」最新の進捗状況

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月4日 7時15分

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写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は日本のODAを活用したフィリピン最大のインフラ建設「マニラ首都圏地下鉄プロジェクト」の進捗状況を中心に解説していきます。

マニラ首都圏地下鉄プロジェクト

フィリピンの財務省(DoF)は、マニラ首都圏地下鉄プロジェクトの第3融資トランシェとなる約560億ペソの融資協定が、来月3月に承認される見込みだと発表しました。

レクトー財務長官は記者会見で「DoFとしては、このプロジェクトへの融資確保に全力で取り組んでいます。第3トランシェの融資協定は2024年3月までに最終合意を目指しています」と述べています。

今回の融資額は約557億ペソ(1,500億円)で、日本国際協力機構(JICA)からの資金提供となります。第1トランシェは2018年に約388億ペソ(1,045億円)、第2トランシェは2022年に約941億ペソ(2,533億円)で融資協定が締結されています。第4トランシェと第5トランシェの融資協定については、計1,511億ペソ(4,066億円)の融資規模で、現在協議中とのことです。各融資の償還期間は40年となっており、第1トランシェは12年、第2トランシェは13年の据置期間がそれぞれ設けられています。

運輸省によると、このプロジェクトはフィリピン初の地下鉄システムであり、現在全体の進捗率は40%となっています。全長33キロメートルの地下鉄は、バレンズエラ駅からビクータン駅までの17駅に加え、ニノイ・アキノ国際空港(NAIA)ターミナル3への支線が設けられ、2029年の全線開業を目指しています。

さらにプロジェクトに残る3件の工事契約の入札を当初の第1四半期から第3四半期に延期すると発表しました。バウティスタ運輸長官は、マニラ首都圏地下鉄に加え、MRT-3(メトロレール・トランジット・ライン3)と南北通勤鉄道の運営・維持(O&M)についても資金調達を進めていると話しました。

地下鉄は、バレンズエラ駅からマニラ国際空港(NAIA)までの所要時間を1時間30分から35分に短縮することが期待されており、毎日51万9千人の通勤者に恩恵をもたらす見込みです。

この大規模プロジェクトの建設は、すでに熟練労働者と非熟練労働者合わせて5,469人の雇用を創出しています。地下鉄が2029年に完全に開業すると、5,500人以上の労働者が雇用機会に恵まれると推定されます。

JICAによる以前の調査によると、マニラ首都圏の渋滞だけでも、経済に1日あたり少なくとも35億ペソの損失をもたらしていることが明らかになりました。効果的な対策を講じなければ、2035年には1日あたり54億ペソにまで増加するとされています。

マニラ首都圏地下鉄の直接的な経済効果は、車関連費、所要時間削減、カーボン排出量の削減などを通じて、1日あたり約25億ペソ、年間で約9,302億ペソの経済効果が可能になるとされています。

主要セクターにおける「外国人所有権制限」緩和へ

フィリピンのマルコス大統領は、1987年憲法で定められている公共事業、鉱業、教育、マスメディア、広告などの主要セクターにおける外国人所有権制限の緩和を提案しました。政府は、土地所有権は引き続きフィリピン人とフィリピン資本の企業に独占させるべきだと主張していますが、他のセクターについては、より多くの投資を呼び込むために、外国人所有制限を緩和する方針を示しています。

フィリピンは、インフラ整備の遅れ、エネルギーコストの高騰、複雑な規制、非効率な役所手続きなどにより、東南アジアの他国と比べて、直接投資(FDI)の獲得に苦戦しています。そこで政府は経済を開放することで、経済に活気をもたらし、技術やノウハウへのアクセスを向上、生産性を向上させようとしているのです。

下院は現在、公共事業、教育機関、広告における外国人所有制限を撤廃するよう求める決議案を審議していますが、政府は憲法改正により、マスメディア、教育機関、広告への外国人投資制限を完全撤廃することを検討しています。

また、国家経済開発庁(NEDA)は、規制条項を改正することで、2028年までに貧困率を1桁台に下げるという政府の目標達成に貢献できるとし、公共事業部門への外国人投資を解禁することで、水とエネルギーの供給を改善し、インフラの資金不足を補うことができるとしています。

さらに教育部門では、この取り組みによってフィリピン人が世界的な知識、スキル、技術にアクセスできるようになり、革新文化を育み、フィリピンを地域における知識交換の中心地としての地位を確立。さらに、マスメディアへの外国人投資は、地元メディアのグローバルな知名度を向上させ、業界の近代化と拡大を可能にするとしています。

マルコス大統領は2025年の中間選挙と同じタイミングで憲法改正の国民投票を実施することを考えています。

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