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フィリピン経済のさらなる活性化の鍵…「フィリピンへの海外直接投資」と「官民連携」の最新動向

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月2日 7時15分

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写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、フィリピン経済のさらなる活性化のために重要な役割を持つフィリピンへのFDI(海外直接投資)と、PPP(官民連携)の最新動向を中心に解説していきます。

「フィリピンへのFDI」改善傾向だが…懸念は?

中央銀行(BSP)の最新データによると、昨年の純FDI流入は2022年の95億ドルから減少して89億ドルになりました。これは、FDI純流入が2年連続で減少したことを示しますが、中央銀行の予測である80億ドルは上回っています。一方でBSPは、2024年末までにFDI純流入が100億ドルに達すると予想しています。

HSBCによると、フィリピンのFDI流入はマレーシアやベトナムのように堅調ではありませんが、1990年代と2000年代初頭の停滞した流入からは改善。フィリピンのFDIを引き寄せる評判が確実に向上。これは、Ease of Doing Business Act、Corporate Recovery and Tax Incentives for Enterprises(CREATE)法、Foreign Investment Act、Public Service Act、Retail Trade Liberalization Actなどの大胆でゲームチェンジングな改革によるビジネス環境に変化によるものと分析しています。

一方で、継続的な規制上の障害や高コストの電力供給などのリスクも指摘。これらの懸念に対処するために、政府は規制緩和を促進し、再生可能エネルギーへの投資を拡大し、フィンテックやデジタル小売業の潜在能力を活用することに焦点を当てるべきだと提言。一方で2022年に再生可能エネルギーへの外資完全所有権が開放されたことで、再生可能エネルギーへの投資機会は見逃せないものになっていると期待を寄せています。

PPP新法で「官民パートナーシップ」をさらに推進

フィリピンの政府機関であるPPPセンターは、国家経済開発庁投資調整委員会(NEDA-ICC)の承認に向けて、今年中に官民パートナーシップ(PPP)プロジェクトを約20件提出する見込みであると発表しました。

現在、政府が推進する重点インフラ整備プログラムには182件のプロジェクトが存在し、そのうち約45件がPPP方式での実施が想定されています。

PPP新法は、これまでPPPプロジェクトの導入を阻害してきたボトルネックを解消することを目的としています。PPP法は、以前のBOT法(Build-Operate-Transfer Law)に存在していたあいまいな条項を明確にし、PPPのガバナンスを透明化させました。

現在、総額2.4兆ペソ相当の119件のPPPプロジェクトが計画されていますが、このうち 95件は国家プロジェクト、残りの24件は地方プロジェクトです。PPPを活用することで、民間セクターの貴重な経験、専門知識、資金を活用し、フィリピンの社会経済的アジェンダと開発イニシアチブを推進することができます。

また新法では、150億ペソを超えるPPPプロジェクトは引き続き NEDA理事会に提出されますが、政府補助金が必要ない150億ペソ以下のプロジェクトは実施機関が直接審査します。これにより、NEDA理事会に送られるPPPプロジェクトの数を減らすことで効率化が進みます。

フィリピン住宅マーケットの現状と2024年の動向

2023年第4四半期、フィリピン中央銀行(BSP)のデータによると、全国の住宅価格は大幅な鈍化が見られました。住宅不動産価格指数(RREPI)は、10月から12月までの期間に年間で6.5%上昇しました。これは、前四半期の12.9%の拡大や1年前の同期間の7.7%の成長よりも鈍いペースであり、2022年第2四半期の2.6%以来、最も低い成長です。四半期ベースでは、全国の住宅価格が3.6%下落し、2四半期続いたプラス成長が止まっています。

Colliers International PhilippinesのリサーチアソシエイトディレクターであるJoey Roi H. Bondoc氏は、四半期間の価格の減少は、四半期の住宅需要の低迷に起因する可能性があると述べました。特に海外フィリピン人労働者(OFW)の送金に依存している人たちが、ホリデーシーズンや自動車を含む他の大きな支出に資金を振り向けた可能性を指摘しています。

住宅不動産価格指数は、異なる住宅タイプや場所の住宅物件の平均価格変動を追跡していますが、これにより中央銀行は銀行の貸出に対する規制を行う不動産市場の状況をチェックしています。

中央銀行のデータによると、戸建住宅の価格は前四半期の16.8%プラスや前年同期の10%の成長よりも低いペースで年間9.5%上昇しました。タウンハウスの価格の増加幅は、前四半期の9.3%増からは落ち着き、4.9%増となりましたが、2022年の同期間の6.8%減からは反転しています。またマンションの価格は、2023年第3四半期より8.3%増。前年同期と比べると、増加幅は落ち着いています。

マニラ首都圏(NCR)では、住宅物件価格が4.3%上昇。前四半期の12.3%の上昇や前年の16.1%上昇よりは低い上昇幅でした。これに対し、マニラ首都圏外の住宅物件価格は7.8%増で、前年同期の4.5%増よりも大きな上昇幅であるものの、前四半期の14.3%よりも鈍いペースです。

2023年第4四半期、すべての種類の新築住宅に対する住宅ローンは、年間30.5%増を記録。NCRとNCR外の住宅ローンはそれぞれ38.5%と26.6%増加しています。フィリピン全体での新築住宅の平均価格は1平方メートル当たり89,042ペソで、NCRの平均は134,178ペソ、NCR外の平均は65,186ペソ。

Colliers International Philippinesは、メトロマニラにおけるプリ・セリング市場のマンション価格の実質的な増加は見込んでいないものの、OFWからの送金を受け取る世帯で戸建人気が継続するという予測から、2024年内は、不動産価格の継続的な上昇が見込まれると予想しています。

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