【年金月額17万円、70歳】賃貸アパートの立ち退きを迫られるも、転居先決まらず…背景に、不動産会社「孤独死による事故物件化懸念」約4割の現実
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月14日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
マスコミでもしばしば報道されている、高齢者の住宅難民化の問題。それなりの年金を受給していても、預貯金があっても、なかなか状況は厳しいようだ。実情を見ていく。
70代バツイチ男性、老朽化アパートの立ち退きを求められ…
江戸川区在住の70歳のバツイチ男性は、築40年超のアパートへ20年にわたって居住していた。最寄駅からやや離れた立地だったが、格安で気に入っていたという。しかし、ここ数年で空き部屋が目立ちはじめ、ついには男性以外の入居者が退去。そのタイミングでオーナーが代替わりし、老朽化による取り壊しを理由に、男性は立ち退きを迫られている。
「嫁と別れてから、ずっとここに住んでいました」
「まあ、老朽化して危険だという話だから、出て行かなきゃね。確かにボロボロだよね」
ところが、次の住まいが見つからない。
男性は一般企業を定年まで勤めあげた元サラリーマンで、年金は17万円。貯金もそれなりにあるという。
「どうしたらいいんだろうね、来月末には出て行かなきゃいけないが…」
男性は途方に暮れている。
不動産会社から、年齢を理由に入居を断られた人、26.8%
株式会社R65が実施した『65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題に関する実態調査』によると、65歳を超えて賃貸住宅の部屋探しを経験した高齢者は35.7%だった。
理由は「家賃の低い物件に住み替えるため」が36.6%、「適切な広さの間取りに住み替えるため」が32.2%、「子どもの近所に住み替えるため」が10.8%だった。一方で、「オーナーや不動産会社から立ち退きを促されたため」というケースも7.6%あった。
不動産会社から年齢を理由に入居を断られた経験について尋ねると、「ある」と回答した人は26.8%。断られた回数は「1回」が最多で44.8%だが、「5回以上」というケースも11.9%あった。
断られた人を収入別にみると、「年収200万円未満」が27.7%、「年収200万円以上」が26.4%となり、あまり大きな差はみられないように見受けられ、このことから、部屋の借りづらさは年齢がネックになっていることがわかる。
念のため、厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』から、現在の高齢者の年金受給状況をみてみよう。
厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給の老齢基礎年金を含めて14万4,982円。65歳以上の受給権者の平均年金月額は、男性が16万7,388円、女性が10万9,165円となっている。
男性の平均的な年金額は月17万円弱、手取りは14.2万〜15.0万円程度だ。決して高額ではないものの、年金は必ず決まったタイミングで、決まった金額が振り込まれるのだが、それでも高齢者が家を借りるのは簡単ではない。
孤独死による事故物件化が不安な不動産会社、37.9%
同じく株式会社R65は、不動産を貸す側の声も調査している。『高齢者向け賃貸に関する実態調査』によると、「管理戸数全体のうち、高齢者入居可能な賃貸住宅の割合」をたずねたところ、「ない」が25.7%、「0~20%」が28.9%となっている。
また、直近1年間で年齢を理由に入居を断ったことがあるかとの問いには、28.3%が「ある」と回答。4社に1社以上が年齢を理由に入居を断っている。
高齢者の入居に伴う不安だが、〈入居前の不安〉としては「孤独死による事故物件化」が37.9%で最多。以降、「死後の残置物の処理」「家賃滞納」「火災」「近隣住民からの苦情」と続いている。〈入居後のトラブル〉についても、最多は「孤独死による事故」が21.9%と最多。以降、「家賃滞納」「死後の残置物の処理」と続く。
いっそ「老人ホーム」でいいのでは…
家を借りたい高齢者と、貸したくない不動産会社。二者間の距離はかなり遠いようだが、高齢者が賃貸を借りるためには、いくつかポイントがあるといえる。
●健康不安の少なさをPR
健康不安がないことを伝えれば、不動産会社の対応も少しや緩和されるかもしれない。もし不安がある場合も、いざとなったら家族がケアマネージャー等のサポートを受けられるようにしておき、その旨をしっかりPRしよう。
●金銭不安の少なさをPR
金銭面に不安がないことも重要だ。そのためには、年金額や貯蓄額を証明する書類を準備しよう。できる限り連帯保証人を立てるようにし、もし無理な場合も、入居希望者が賃貸住宅を借りやすくする「家賃債務保証」等を利用しよう。
●シニア向け物件を探す
最近はシニア向け分譲マンションなど高齢者専用物件も増えている。費用が高めなのが痛いが、このような物件に絞って探す方法もある。
●老人ホームも選択肢にする
思い切って老人ホームを選択するというのも手。「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」であれば、自宅とほぼ変わらない自由度の高い暮らしができる。基本的に外部の介護サービスを利用する「住宅型有料老人ホーム」は、比較的自立の高齢者が多い。自立していれば、利用料金を抑えることができるのも魅力だ。ただし、費用面には要注意。国土交通省によれば、サ高住の月額費用は平均10.8万円。初期費用は保証金(敷金)のみで、10万~30万円程度が相場。とはいえ、賃貸物件に引越しをするのとさほど変わらない費用で入居できる。
深刻化する高齢者の「住宅難民問題」も、住まいの選択の幅を広げれば、意外とあっさり着地がかなうかもしれない。
[参考資料]
株式会社R65『65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題に関する実態調査』
THE GOLO ONLINE 編集部
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日本の惨状…「お金がなくて孤独だから、家も借してもらえない」貧困老人7万人が置かれる、あまりに悲し過ぎる現実
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月18日 11時15分
-
老後資金に困ったときの手段! 「リバースモーゲージ」と「リースバック」について解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月15日 8時20分
-
賃貸経営のターゲット…「低所得者や高齢者など住宅弱者」を狙うと儲かるワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月14日 10時15分
-
おひとりさまで貯蓄が少ない…そんな時に持ち家を活用すれば「老人ホーム費用」は捻出できる!?
オールアバウト / 2024年4月1日 18時30分
-
年金〈月20万円〉もらえるはずが…65歳夫の急逝で受給額が激減。「もう、生きていけない」憔悴する59歳妻を救った、年金事務所職員のひと言【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月1日 11時15分
ランキング
-
1【カルディ】見つけたら即ゲットして! 超人気商品「ウイスキープリン」は食べて驚く本格派スイーツ
オールアバウト / 2024年4月26日 20時35分
-
2胃もたれには「健胃薬」? それとも「消化薬」? 薬剤師に聞いて分かった「市販の胃薬の選び方」
オトナンサー / 2024年4月26日 20時50分
-
3「スマホから変な音する」奇妙な現象、7時間後に予期せぬ真相発覚 ネットずっこけ「そんなことある?笑」
よろず~ニュース / 2024年4月26日 18時20分
-
4成分足りない「正露丸」、30年以上前から虚偽の試験結果で出荷…富山のキョクトウに業務停止命令
読売新聞 / 2024年4月26日 23時24分
-
5ねんきん定期便の見込額に注意!年金から天引きされる4つのお金を知っておこう
オールアバウト / 2024年4月25日 21時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください