手放した株の価格がどうなったか、見る?見ない?…売った株の「その後」もチェックすべき理由とは【株式投資のプロが助言】<br />
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月24日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
株を売却した後、その株の価格がどうなったかチェックしていますか? 売ったということは、当然ながら自分の手元に株はありません。だから関係ないし、一切見ない…そういう人もいるかもしれませんが、「売った後も株価の推移はチェックしたほうがよい」と、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。本稿では、いくつかの注意点も含めて売却した銘柄の株価をチェックすべき理由について、河合氏が解説します。
売却した後も、株価の推移は基本的にチェックしたほうがよい
売った株のその後の推移を見るべきかどうか。答えとしては、基本的にチェックしたほうがよいでしょう。それは「売った理由」が正しかったのか間違っていたのかを、検証するためです。
株を売る際は、誰しも理由を持っているはずです。チャートを分析する人、ファンダメンタルズを分析する人、経営者の能力やブランド力など数字に表しにくいその会社の価値を加味する人など、いろいろな人がいると思います。
ポートフォリオ全体のバランスについても考える必要があります。そしてそれらを総合して、「この株価ならば、もう売ったほうがメリットが大きい」と判断して売るはずです。
しかし、それが常に正しいとは限りません。自分が頼りにしている理論に欠点があったり、分析ミスをしたりして、誤った判断で売ってしまうことは誰しもあるはずです。また、本当はまだ保有しておくはずだったのに、そこから下がることが不安になって衝動的に売ってしまう人もいるでしょう。人間は、常に間違う可能性を持っているのです。
そこで、その「売った理由」の検証が必要となります。検証の方法は簡単で、売ったあとの株価変動が、自分の予想通りか否かをチェックすればよいのです。まだ上がると思っている株を売る人はいないでしょう。ですから、売ったその株が、本当にもう上がらなくなっているかをチェックすればよいのです。
上がっていて無条件に「売ったのはミス」と考えるのは間違い
ただし、もし売った株が上がっていても、無条件に「売ったのはミス」だと考えるのは間違いです。
それが事前に予想不可能な場合と予想可能な場合があり、前者の場合はミスだとはいえないからです。その2つの場合について、考えてみましょう。
「値上がりが事前に予想不可能な場合」とはつまり、市場がおかしな判断をして株価を上昇させている、ということです。まだ業績には何の影響もないのに、その会社のニュース一つで大きく株価が上下することがあります。
「株価が上がっているから」という理由で買われたり、逆に「株価が下がっているから」という理由で売られることもあります。市場全体を見ても、実態から大きく乖離した「バブル」が起きることもありますし、逆に何らかの理由で、もしくは理由もわからず実態から大きく乖離して急落することもあります。
このように株式市場というのは摩訶不思議なものでもありますので、自分がいくら正しい理論に基づいて正しい分析をして売るべき株価で売ったとしても、さらに上がるという「偶然」も起こりえるのです。
一方、「値上がりが事前に予想可能な場合」とはつまり、自分の判断ミスで誤って売ってしまった、ということです。
その際は、自分がどこで間違えたのか、今後どうやってそのミスを防ぐか、を考えましょう。それをしなければ、今後同じミスをして損をしかねません。ただし落胆する必要はなく、自分の投資手法を洗練していくためのよい機会だと前向きに捉えればよいでしょう。
長期にわたってチェックするのがよい
そして、「値上がりが事前に予想不可能な場合」と「値上がりが事前に予想可能な場合」を見分けるためには、長期にわたって株価をチェックするのがよいでしょう。
短期であればあるほど、株価は偶然に左右された動きをします。しかし長期になればなるほど、株価はその企業の実態を反映するからです。
したがって、売った株が短期的に上がっている場合はまだ、偶然である確率が十分にあるといえます。自分の判断ミスに心当たりがないのならば、売却後の株価上昇はやはり単なる偶然であって予想不可能で、市場が間違った判断をして株価が上昇していると判断する余地があります。
しかし、長期的に株価が上昇しているならば、それは偶然ではなく、自分の判断ミスだったと認めたほうがよさそうです。長期になればなるほど株価はその企業の実態を反映しますので、その株価上昇は事前に予想できた可能性が高くなります。
よって、売った株のその後は、できるだけ長期にわたってチェックしたほうがよいということになります。長期間経って自分の予想以上に株価が上がっているならば、それは自分の判断ミスだと考え、売買手法を見直すきっかけにしたほうがよさそうです。
売ったあとも株価を長期観察し、自分の手法を磨いていこう
売った株のその後は、基本的にチェックしたほうがよいでしょう。「売った理由」が正しかったのか間違っていたのかを、検証するためです。
ただし、もし売った株が上がっていても、無条件に「売ったのはミス」だと考えるのは間違いです。それが事前に予想不可能な場合と予想可能な場合があり、前者の場合はミスだとはいえないからです。
そして、「値上がりが事前に予想不可能な場合」と「値上がりが事前に予想可能な場合」を見分けるためには、長期にわたって株価をチェックするのがよいでしょう。短期であればあるほど、株価は偶然に左右された動きをします。
しかし長期になればなるほど、株価はその企業の実態を反映するからです。
川合 一啓 株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO
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