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「純金積立は手数料が高いからやめとけ」と言われるが…ちゃんと計算して判明した「意外な真実」【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月31日 10時45分

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金に投資する場合、「金地金」の購入や「純金積立」など様々な選択肢があります。しかしながら、投資先を安易に選ぶと手数料の負担が大きくなってしまうことも。そこで本記事では、ファイナンシャル・プランナーの横川由理氏の著書『知らなきゃ損! インフレってなに?』(自由国民社)から、金投資を始める際に注意すべきポイントについて解説します。

登場人物

かあさん(横川由理) FPとして活躍する本書の著者。「正義の味方になる」「迷ったらやる」「専門用語を使わない」をモットーに、資産運用に悩む人たちにわかりやすくアドバイスを行う。桃太郎の育ての母。

猫の桃太郎(ももちゃん) 生まれたばかりで迷子になり、横川さんの息子の由比(ゆい)君に保護された♂猫。横川家に迎えられ、かあさんが哺乳瓶でミルクをあげてすくすくと育った。人間と話ができる不思議な能力を持つ。

どうやって金を買うのが賢い?

かあさん:金に投資をする場合には、金地金を買ったり、純金積立、投資信託、ETFなどさまざまな方法があるわ。

桃太郎:きんちきん?

かあさん:「きんぢがね」、って読むのよ。金の延べ棒とか純金コインのことを指すの。一番簡単なのは、純金積立ね。それから金融商品として、投資信託とETF(上場投資信託)で買えるわ。純金積立は、貴金属商や証券会社で口座を開いてね。

桃太郎:かあさんはどこでやってるの?

かあさん:田中貴金属さん。もう20年以上お世話になってるわ。

桃太郎:そんな前から! すごく儲かってそうだねー!!

かあさん:ううん。最初は3,000円からスタートしたし、等価交換でアクセサリーと交換したこともある。値段が上がったときには、一部売ってしまったわ。あのとき売らなければ、今頃もっと上がっていたのに~(涙)。

桃太郎:かあさん、「頭と尻尾は猫にやれ!」って知ってる? もっとも僕は、真ん中しか食べない。今日はお刺身にしてね!

かあさん:あら、ももに諭されちゃった。「頭と尻尾」は、一番高いときに売ることも、一番安いときに買うこともできないという、投資の格言よね。頭ではわかっているけど、心がわかってくれないの。でも、お金は必要なときにおろして、使わないとね。何のために貯蓄をしているのかというと、使うためだからね(と、自分を慰める)。

では、ここで貴金属商と証券会社の違いを説明するわね。田中貴金属や三菱マテリアルなどの貴金属商は、会員登録と引き落とし口座を登録する。毎月、あるいはボーナス月などに積み立ててね。一方、SBI証券や楽天証券でも純金積立ができる。ただし、証券会社の場合は、銀行の口座からの引き落としができないから、証券会社の口座に入金する必要があるわ。

桃太郎:貴金属商と証券会社、どっちがいいの?

かあさん:手数料の違いかな。証券会社は買付時に、代金の1.65%を払う。田中貴金属は、2万9,000円までなら代金の2.5%と、証券会社よりも割高よ。

桃太郎:どうして、かあさんは手数料の高いところで積立をしているの?

かあさん:私が純金積立を始めたころはネット証券はなかったし、そもそも証券会社が純金積立を始めたのもつい最近のこと。今さら別の会社に金を持って移動はできないのよ。もちろん、田中貴金属さんの場合、積立を休止できるけど、1年に管理料として1,320円を払う必要があるの。

桃太郎:世の中お金だね〜。

かあさん:ほんと。毎月1万円の積立なら、12万円。12万円の2.5%は、3,000円と高いわね。けれど、管理料の1,320円と証券会社の手数料1,980円(12万円×1.65%)を足すと、3,000円を超えるわ。だからかあさんは、割高でもこのままでいいの。仮に少しくらい割安でも、口座が2つになると、管理するのが面倒だからこのままだと思う。

桃太郎:じゃあ、これから口座を開く人は証券会社でいいんだね?

かあさん:そうね。もし、金地金として引き出したい場合は、貴金属商のほうが細かく引き出せるけど、そのために高い手数料を払うのはね~。あと、楽天証券の場合は、楽天カードからの引き落としにすると0.5%のポイントがつくわ。

「純金積立は手数料が高い」ってホント?

桃太郎:「純金積立は手数料が高いからやめたほうがいい」ってネットにたくさん書いてあるよ。

かあさん:人様の手を煩わせるからね。無料はないわよ。でも、純金積立が割高とは限らないのよ。では投資信託で金を買うコストと比べてみましょう。投資信託で金を買う方法をお話しするわね。

桃太郎:純金投資信託ね……。

かあさん:[図表2]を見て。純金に投資する投資信託とETF(上場投資信託)を載せておいたわ。見てほしいところは、手数料のところね。まず、一番上の投資信託を見て。購入時手数料は1.1%かかります。

桃太郎:うん。

かあさん:投資信託だから、運用管理費用がかかるのを忘れないでね。1年あたり運用管理費用が0.99%ということは、1年間で購入時手数料との合計は2.09%にもなるの。2年目は合計3.08 %と、驚きの高額手数料になるわ。

手数料を比べるときは、1年間で考えても意味がないの。たとえば、この純金投資信託を30年持っていた場合に引かれる運用管理費用は約34%にもなるわ。

 【運用管理費用の計算】

(1+0.0099)30乗=1.3438…… ⇒ 約34%

桃太郎:金の投資信託でも運用管理費用がかかるの? 別に銘柄を選ばないよね? 金一択だよ。

かあさん:投資信託のしくみを利用して金融機関が儲けるのよ。投資信託を買うなら手数料を払う。「三菱UFJ純金ファンド」の目論見書を見るとね、運用管理費用は年0.55%って書いてあるわ。じゃあ、なぜ私が表に運用管理費用を0.99%って書いたのかを発表しまーす!

桃太郎:オーバーだな……。

かあさん:この商品の目論見書の数字は0.55%。でも、でも実体は0.99%。なぜならこの商品は、2番目に書いてある「純金上場信託」で運用しているの。だから、「三菱UFJ純金ファンド」の0.55%と「純金上場信託」の0.44%を合計すると、0.99%になりまーす!

桃太郎:えー!? ぜんぜん手間がかからないよね?

かあさん:だから、広告宣伝費とか、給料とか、事務所などの経費と儲けね。0.99%がいやなら、「純金上場信託」ETFを直接、買おうね。ETFなら証券会社を選べば基本的に購入時手数料はかからないわ。2段目の「純金上場信託」の運用管理費用は、0.44%。30年で14%と投資信託より低くなるでしょ。

 【運用管理費用の計算】

(1+0.0044)30乗=1.14077…… ⇒ 約14%

桃太郎:投資信託よりは安い。

かあさん:ももはさっき、証券会社に口座を開くのはハードルが高いっていったでしょ? 実はほかのみんなも同じことを思っている。だから、この投資信託はそんな人のために親切に銀行でも買える商品を作ってくれたのよ。

桃太郎:うそばっかり……。ETFを買えば0.44%ですむのに、金融に疎い人から手数料を取り上げようとしてこの投資信託を作ったんでしょ!

かあさん:バレたか……。運用管理費用をもっと安くしたいなら海外ETFがいいわね。ちょっと上級者向けだけど。「SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト」の運用管理費用(経費率)は、0.13%よ。30年では、約4%かな。

 【運用管理費用の計算】

(1+0.0013)30乗=1.03974…… ⇒ 約4%

純金積立は購入時の費用が高いけど、買ったあとは手数料がかからないの。ね、長い目で見ると純金積立の手数料が高いわけではないのよ。

横川由理 ファイナンシャル・プランナー

※本記事は『知らなきゃ損! インフレってなに?』(自由国民社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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