1,000万円超えを夢見た20代男性、あえての〈中小企業〉選択も…1年後の「トホホ過ぎる展開」に涙のワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月30日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
どうせ入社するなら、給料の高い大手企業が望ましい。そのように考える人が多くいる一方、あえて「仕事の幅」「出世の可能性」を求め、中小企業への就職を決意する人もいる。しかし、なかにはせっかくのチャレンジを後悔するケースもあるという。どういうことか。
「企業規模」ではなく、「やりがい」で就職先を探したが…
大学生の多くは、大企業に入社した先輩たちから、さまざまな愚痴やあきらめの言葉を聞くことがある。
「俺たちはまさに〈歯車〉だからさ」
「仕事をしても、手ごたえというものがないんだ」
「能力の限界? そんなもの、入社してすぐに思い知らされるよ」
ある若手社員は語る。
「人生の大半は、仕事をして過ごすわけですよね。ですから、自分で納得のいく仕事、活躍の可能性があるフィールドを見つけたいじゃないですか」
大企業への入社を目指す大学生はもちろん多いが、あえて中小企業を狙いに行く学生もいる。
「中小企業の方が、たくさんの学びのチャンスがありそう…」
その場合、周囲から反対されるケースもあるだろう。なかでも両親、とくに父親はシビアなはずだ。
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマン(平均年齢42.4歳)の平均給与は月収で40.5万円、賞与を含めた年収で658.4万円。
従業員1,000人以上企業勤務の大卒サラリーマン(平均年齢41.9歳)であれば、平均月収44.3万円、年収769.6万円。一方の、従業員10~99人の中小企業勤務の大卒サラリーマン(平均年齢43.6歳)は、平均月収で35.1万円、年収で531.2万円。月収で9万円、年収で200万円以上の差だ。
年齢別で見ると、さらに厳しい状況が明らかになる。20代前半では年収で50万円ほどだった給与格差は、20代後半では100万円以上、30代後半では200万円以上、40代後半では300万円以上になる。
◆年齢別:大卒サラリーマン、中小企業と大企業の平均給与
20~24歳:22.8万円(318.5万円)/24.1万円(370.0万円)
25~29歳:26.0万円(389.9万円)/28.7万円(519.3万円)
30~34歳:29.7万円(459.2万円)/35.1万円(630.5万円)
35~39歳:33.8万円(516.1万円)/42.3万円(756.5万円)
40~44歳:37.4万円(571.9万円)/46.3万円(809.2万円)
45~49歳:38.9万円(598.5万円)/52.7万円(901.7万円)
50~54歳:41.4万円(628.5万円)/57.2万円(988.1万円)
55~59歳:43.5万円(651.6万円)/57.2万円(975.1万円)
60~64歳:37.5万円(548.7万円)/45.5万円(740.3万円)
※数値左より、中小企業の平均月収(年収)/大企業の平均月収(年収)
頑張っても、年収1,000万円を超えるのは無理…
大企業と中小企業の間に広がる、あまりに大きい給与格差。
だが、大卒サラリーマンの月収の中央値は34.7万円。年収1,000万円を超えが想定される月収65万円超えは、大卒サラリーマンの6.5~11.9%。実際のところ、中小企業であっても出世すれば年収1,000万円超えは実現するし、大企業でも上位に食い込まなければ1,000万円超えは難しい。
ならば、自身の手で高い評価・給与を勝ち取ればいいのではないか。
ある20代の男性は、そんな考えのもと、中小企業へと入社を果たした。ところが1年後――。
「いまですか? 退職するつもりです」
入社してから1年、なぜ転職活動をスタートしているのか。男性は語る。
「会社の体制の問題というか…」
その会社は、経営陣と、そこに近しい関係者以外は、あくまでも〈兵隊〉のポジションでしかないのだという。
「負担の大きい大変な仕事は〈兵隊〉が行い、成果が出たら〈中心部」が吸い上げる。〈兵隊」はどんどん入れ替わりますが、〈中心部」は意に介さないのですよ」
これは、よくある構造ではないだろうか。
「それより、いちばん驚いたのが、イマイチ仕事ができない先輩が、経営者の親族と結婚した途端、出世街道に乗ったことですね…」
そういうと、男性はそっと目頭を押さえる。
家族経営の会社であれば、このような事態は決して珍しくない。だが、従業員として働く立場としては、あまりに報われないのではないか。
やりがい、正当な評価、納得できる賃金。
これらのバランスが崩れた環境では、就業を続けるのは厳しい。
転職が当たり前のものとなっている現在。昭和時代のサラリーマンのように、不条理な環境に耐え続けるという就業スタイルは過去のものだ。
置かれた環境に愛想をつかし、今日も転職活動にいそしむ人がいる。
[参考資料]
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