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おっせえなあ!…「高齢者の運転=危険」の印象を世間に植え付けた“高級外車ドライバー”たちの正体【東大医学部卒の医師の見解】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月9日 9時0分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

マスコミによって報道される高齢者の交通事故。「免許返納」を促す言説が飛び交うばかりですが、はたして鵜呑みにしてよいのでしょうか。精神科医である和田秀樹氏の著書『老害の壁』(エクスナレッジ)より、「高齢者の運転=危険」の印象を世間に植え付けた人たちの正体について、和田氏の見解をみていきます。

「高齢者マーク」をつけた車は安全運転

私も運転をするのでわかりますが、高齢者マーク(高齢運転者標識)をつけている車は基本的に安全運転しているように思えます。

高齢者マークとは、70歳以上のドライバーに推奨されているマークで、幸せを運ぶという意味合いで四つ葉のクローバーをデザインしたものだそうです。でも私には四つ葉のクローバーには見えないので、マークの意図が十分に理解されていないのかもしれません。

いずれにしても、あのマークをつけたドライバーが高齢者であるのは間違いありません。その運転ぶりを観察すると、ほとんどの人は法定速度を守った安全運転を心がけています。こういう運転なら事故はめったに起こらないような気がします。

それに、高齢者マークをつけている車は、前後を走る車に、「高齢者が運転していますよ」というメッセージを発しているのですから、前後の車は高齢ドライバーが安全運転できるように、十分な車間をとるなど、気を配らないといけません。

道路交通法(第71条第5の4号等)にも、「高齢運転者標識を付けた普通自動車に危険防止のためやむを得ない場合を除き、幅寄せや割込みをした自動車運転者は処罰されます」とあります。

安全運転なのに…高齢者の“ノロノロ運転”を許せない人たち

高齢者マークをつけた車には、配慮してあげないといけないのに、車間をぐいぐい詰めたり、無理に追い越そうとしたりする車を見かけることがあります。

そんな運転をするのは、高級外車が多い印象がありますが、そんな高価な車を所有しているのは、金持ちの若い人が多いように思われます。

ここからは私の勝手な想像ですが、テレビ局で制作の仕事をしている社員には、高級外車に乗っている人がなぜか多いという印象があります。

テレビ局の制作、いわゆる現場の仕事を担うのは20〜40代くらいの若い人です。テレビ局は同年代の他の職業に比べると高収入の上、親が金持ちのことが多いと言われているので、高価な車も簡単に買えてしまうのでしょうか。

そんな高級外車のドライバーから見ると、いかに安全運転とはいえ、ゆっくり走る高齢者の車が街にあふれていることが許せないのかもしれません。

だったら、高齢者から免許を取り上げよう。免許を取り上げるために番組でキャンペーンを張ろう。そんな意図が背景にあり、高齢者が運転事故を起こすと、まるで大罪を犯したかのように報道することになったのではないでしょうか。

そんな妄想もあながち外れてはいないような気がしますが、みなさんはどう思われますか。

年齢は無関係?誰にでも交通事故を起こす可能性はある

高齢者にも運転事故がないわけではありません。ただ、人身事故はほとんど報道されていません。そもそも、交通事故による死者数は年々減ってきているのです。

かつては「交通戦争」と呼ばれ、1970年前後は死者数が1万6,000人を超えていた時代がありました。その後、やや揺り戻しはあったものの、死亡者の数は右肩下がりになり、2020年の死者数は2,839人と、警察庁の統計開始以降初めて3,000人を下回りました。

死亡者数は減少していますし、高齢者が交通事故を起こす確率は決して高くはありません。むしろ、人身事故がめったに報道されないのは、高齢者の運転による死亡事故も少ないということでしょう。

もちろん、死亡事故がまったくないとは言いません。不幸にして人を死なせてしまうこともあります。そんなときこそ、高齢者の運転はこんなに危険だから、もっと免許返納を加速させるべきだ、といった論調がマスコミにはあふれます。

事故が遺族にとって悲しい出来事であることは間違いありません。けれども、それをもってすべての高齢ドライバーの運転は危険だというのは論理の飛躍でしょう。

さらに言えば、万が一事故を起こしたときのために、すべてのドライバーは自動車保険に加入しています。なぜなら、どんなに優秀なドライバーでも、交通事故を起こす可能性があるからです。

確かに、高齢になれば動体視力や判断力が若い頃より低下するので、より慎重に運転する必要があります。でもそれは高齢者もわかっていることです。だからこそ、心配な人は高齢者マークをつけて運転しているのです。

和田 秀樹 精神科医 ヒデキ・ワダ・インスティテュート代表

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