お兄ちゃん、一体どういうつもり?認知症の母親の介護を「長女と次男」に丸投げした長男。〈財産3億円〉〈長男教〉の母親が残したメモに73歳長女が怒り心頭のワケ【相続の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月11日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
相続される遺産の配分に納得できない場合、相続発生前に準備しておくべきことがあります。相続が円滑に進むかどうかは「遺言書」の有無などによっても左右されますが、どのような準備をしておけば安心できるのでしょうか。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、相続の事前準備で注意すべきポイントについて詳しく解説します。
父親の相続
90代の母親の相続について相談したいと長女の貴子さん(73歳)が相談に来られました。
父親は10年前に亡くなり、二人の弟(60代)とともに、遺言書によってきょうだいそれぞれが資産を相続しました。
遺言書には自宅とアパートは母親に、会社と別のアパートは長男に、貴子さんと次男は預金をという内容でした。父親の遺志を生かしてそのまま相続したといいます。
父親が創業した会社は衣料品の販売をしており、長男と次男が手伝っていましたが、次男は独立し、父親の会社は長男が相続したのでした。
次男夫婦が同居して介護
母親は90代になりましたが、まだ自宅で生活できています。しかし年齢には逆らえず、認知症となってしまったため、次男家族が自宅に同居し、母親の面倒を見ています。
同居する家族は大変ですが、次男家族は文句も言わずに面倒を見てくれており、貴子さんは感謝しています。
貴子さんもたまに行っては母親の食事の世話などをするのですが、長男は介護を手伝うこともなく、次男や貴子さんに任せきり。これには貴子さんは快く思っていませんでした。
母親の相続になったら、どうすればいいかと相談に来られたのです。
長男が一番多い
母親の財産は自宅の他に、アパートや土地があり、不動産だけで約3億円程度あります。
母親は認知症になる、10年くらい前に遺言書の下書きのためなのか、財産の渡し方を書いたメモを書いていました。
内容は「財産の3分の2を長男に、3分の1を次男に相続させる」としてあります。「長女の貴子さんには遺留分相当を渡す」とされていました。
これには貴子さんは自分のこともさることながら、介護に貢献している次男が多いのならともかく、長男が次男の倍とされていることに納得がいきません。もともと母親は“長男教”というか、何をおいても長男が一番という考えでした。
金融資産や株はどうなっている?
貴子さんが気になっているのは会社のこともあります。
父親が亡くなったときに母親は会社の株を相続したはずです。現在はどうなっているのか、役員報酬はあるのか、など知っておきたいと長男に聞いても「答える必要はない」という返事で埒があきません。
長男は、会社は自分が相続し、母親の財産についても自分が多く相続するのは当たり前だという考えのよう。貴子さんにもそうしたことを言うばかりで、話にならないといいます。
しかし、会社でも母親の土地でアパート経営をしているようで、相当な家賃収入が入っているはずだと貴子さんは推測しています。
長男に会社の決算書を見せてもらって確認したいと貴子さんは言いますが、部外者となる貴子さんに見せる義務はありません。
確認しておくこと
これから母親の相続に備えて、貴子さんがしておくことは次のことだとアドバイスしました。
- 遺言書が正式なものなのか、存在しているのか確認
- 母親の預金の確認
- 固定資産税評価額の確認
- 不動産の確認
できれば確認した内容を長男、次男とも情報共有しておくことが望ましいと言えます。
遺言書があればそれに従い、遺留分が侵害されていれば請求し、遺言書がなければ遺産分割協議をすることになりますので、今から準備しておくことが必要でしょう。
曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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