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最新ストリートモデルが話題の「スーパーカブ」個性派モデルを振り返る

&GP / 2019年3月27日 21時0分

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最新ストリートモデルが話題の「スーパーカブ」個性派モデルを振り返る

先日発表され、話題を集めている「スーパーカブ50・ストリート」と「スーパーカブ110・ストリート」。3月22日~24日に開催された東京モーターサイクルショーでも実車が展示され、多くの人が足を止めていました。ノーマルの「スーパーカブ」シリーズが持つ、ビジネスバイクっぽさを払拭し、ストリートという名にふさわしいクールなルックスが特徴です。

▲「スーパーカブ110・ストリート」

でも、実は「スーパーカブ」には昔から多くの派生モデルが存在しました。そんな個性派モデルとともに、その歴史を振り返ってみましょう。

■国内だけでなく世界に広がる「スーパーカブ」

「スーパーカブ」が生まれたのは1958年のこと。

またぎやすい低床バックボーン式フレームと大型のレッグシールドを備えたスタイルは、当時流行っていたスクーターのような見た目なのですが、「スーパーカブ」は3速のミッションや17インチホイールを装備。通常のバイクのような走行性能を持っていました。

初代モデルの「C100」は、出前をする蕎麦屋さんが片手で運転できるようにと開発されたレバー操作のいらない自動遠心クラッチ、サイズがないため独自開発したタイヤなど、当時としては先進的な機能を備え、ベストセラーとなります。そのスタイルは今見てもカッコいいと感じる人は少なくないはず。

▲「スーパーカブ C100」

でも、実はそれに先立つ1952年、「カブ」と呼ばれるモデルが発売されていました。それが自転車に装着する補助用として開発されたキットエンジン、通称「カブF」です。自転車に装着するキットのため、写真のように梱包された状態で出荷されていたこのエンジンが、後の「スーパーカブ」の原型となりました。

▲「カブF」

「スーパーカブ」のすごいところは、発売の翌年には海外への輸出を開始しているところ。それも、アジア圏ではなくバイクの本場であるアメリカに向けてです。これは、「アメリカで売れれば、どこの国に持って行っても通用する」という本田宗一郎氏の考え方によるものでした。下の写真は1962年式のアメリカ向けモデル「CA102」です。2人乗りが可能となっているのがアメリカらしいところ。

▲「CA102」

とはいえ、アメリカでもいきなり成功を収めたわけではありません。当時のアメリカではバイク=無法者の乗りモノというイメージ。それを払拭し、知名度のほとんどなかったHondaの名を広めるために同社は“YOU MEET THE NICEST PEOPLE ON HONDA”というキャッチコピーの広告を展開します。これによって「Hondaに乗る人=いい人」というイメージを広め、売り上げを伸ばすとともにバイクのネガティブなイメージも取り払ったのです。

今や世界での累計販売台数が1億台を超える前代未聞の乗りモノとなった「スーパーカブ」のグローバルな躍進はここから始まりました。

 

■メーカー製のカスタムマシンも

カスタムのベースとしても人気の「スーパーカブ」ですが、メーカー純正でもカスタムパーツや、そのパーツを組み込んだマシンが販売されていたのが面白いところ。

下のマシンはアメリカ向けの「C100」「C102」を対象に製作されたカスタムキット「ボスキット」を装着したものです。

▲ボスキット装着車

当時流行のストリートスクランブラー(オフロードも走れるマシン)のようなスタイリングを狙い、アップマフラーとパイプハンドル、それにフェンダーで形成されています。今見ても乗りたくなるデザインですね。

▲スチューデントキット装着車

こちらはアメリカ向けのカスタムキットである「スチューデントキット」を装着したマシンになります。レッグガードを取り去り、軽快なイメージに仕上げられています。シリンダーにメッキ製のガードが装着されているのもユニークですね。このキット装着車は1970年まで販売されていました。

▲ロードスターキット装着車

さらにスポーツタイプのキットも用意されていました。こちらのマシンは「C102」向けに開発された「ロードスターキット」を組み込んだモデルです。1967年登場のスポーツ車「SS50」を模したタンクとシート、専用のサイドカバー、パイプハンドル、フェンダーで構成されています。一気にスポーツバイクっぽくなりますね。これも乗ってみたくなる完成度です。

▲ラリーキット装着車

そして、こちらのモデルは同じくスポーツタイプの「ラリーキット」を組み込んだマシン。ベースは同じく「C102」です。ロングタンクとレーシングタイプのシート、サイドカバー、パイプハンドルでカフェレーサーっぽいシルエットに姿を変えています。レーシングフラッグを背景にしたウイングマークがデザインされているのもレーシーなイメージを掻き立てます。このキットも1970年まで販売されていました。

ちなみに「ハンターカブ」という名を聞いたことがありますか? おそらく知っている人も多いかもしれません。下の写真はアメリカ向けに開発された1963年式の「C105H」というモデルです。

▲「C105H」

オフロードを走行可能なブロックタイヤにアップタイプのマフラー、そして登坂用の大きなリアスプロケットを装備されています。後にハンターカブの名を広めた輸出向けモデル「C110」の原型となったモデルで、現行の「クロスカブ」のルーツと呼べるでしょう。

こうしたスポーツタイプのマシンは国内向けにも用意されていました。下の写真は1960年式の「スポーツカブC110」。

▲「スポーツカブC110」

フレーム形状が違うだけでなく、エンジンには当時のGPレーサー「RC」系の吸排気技術を投入し、最高出力を5PS(ノーマルの「C100」は4.5PSで当時の50ccとしてはハイパワーでした)を発揮します。スポーティなアップマフラーと、手動式のクラッチも備え、当時の若者の人気を集めました。

また、今回リリースされた「ストリート」シリーズに似た印象を持つモデルもあります。それが、1962年式の「ポートカブ C204」。

▲「ポートカブ C204」

「スーパーカブ」よりもさらに大衆向けに開発されたモデルで、エンジンは「C100」を基本に新設計。最高出力は2.3PSに抑えられ、変速も2段と装備を簡素化することで低価格を実現していました。軽量化された車体とパイプハンドルがなかなかスタイリッシュです。

昨年、シリーズのトップモデルとして登場した「スーパーカブ C125」。排気量が125ccまで拡大され、最高出力は9.7PSまで高められています。それに合わせてディスクブレーキやキャストホイールも装備していますが、デザインは実は初期型の「C100」をオマージュしたもの。

▲(手前)「スーパーカブ C125」

カモメタイプと呼ばれるアップタイプのハンドルや、リアキャリアの形状にその遺伝子が感じられます。このモデルの新色も、東京モーターサイクルショーで展示されていました。レトロな雰囲気が高まって、こちらも人気が出そうです。

>> ホンダ

 

(取材・文/増谷茂樹 写真/松川 忍)

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