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小さいけど本格派!トヨタ&ダイハツ「コペンGRスポーツ」は前代未聞のスポーツカー

&GP / 2020年2月2日 19時0分

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小さいけど本格派!トヨタ&ダイハツ「コペンGRスポーツ」は前代未聞のスポーツカー

今や日本の乗用車販売において約4割のシェアを占めるなど、もはや軽自動車は日本市場の“スタンダード”といえる存在になりつつある。

しかし、ダイハツ「コペン」は、そんな軽自動車カテゴリーに属すクルマでありながら、他のモデルとは性格が大きく異なる。ボディ形状は2シーターオープンで、一般的な軽自動車が広い居住スペースを重視するのに対し、実用性よりも走りの爽快感や運転する楽しさに重きを置いている。

中でも、今回紹介する「コペンGRスポーツ」は、よりスポーティに仕立てられた特別なコペンなのである。

■トヨタのGRカンパニーとダイハツが強力タッグ

コペンGRスポーツには、前例のない大きな驚きがふたつある。

ひとつ目は、トヨタのディーラーでダイハツと同じクルマが販売されること。コペンはダイハツのモデルだが、そのGRスポーツ仕様はダイハツだけでなく、トヨタのディーラーでも売られるのだ。

確かにこれまでも、トヨタのディーラーでダイハツが生産・供給したモデルを販売してきたが、それらはエンブレムをダイハツからトヨタへと変更し、トヨタ独自の車名をつけて、あくまでトヨタ車として販売していた。ところがコペンGRスポーツは、トヨタディーラーで販売される場合でも、ダイハツ仕様と見た目も車名も同じ。両社のディーラーで全く同じクルマが売られるのだ(正確にいえば、目に見えない車両型式は異なる)。

コペンというクルマは、ダイハツよりもコペンというブランドを強調したいとの思いから、ダイハツのエンブレムが装着されていなかったという事情はあるものの、トヨタとダイハツのディーラーで寸分も変わらないクルマが売られるというのは、これまでの常識から見れば衝撃的な出来事だ。

もうひとつの驚きは、“GR”というトヨタのスポーツカーブランドから、他メーカーのクルマが登場したこと。トヨタとダイハツの企業間コラボで誕生したモデルではなく、ダイハツのクルマをベースとしたトヨタのスポーツモデルが登場したのだから、これも前代未聞だ。

ちなみにGRとは、“GAZOO Racing(ガズー・レーシング)”の頭文字から名づけられたトヨタのスポーツカーブランドで、モータースポーツ活動やスポーツカーの企画・開発を担当するトヨタの社内カンパニー“GRカンパニー”がプロデュースしている。GAZOO Racingは、2007年のドイツ・ニュルブルクリンク24時間耐久レースに初参戦。以降、モータースポーツを通じて人とクルマを鍛えながら“もっといいクルマづくり”に取り組んできた。

今回、コペンGRスポーツの開発に当たっては、トヨタ側のGRスタッフと、ダイハツ側のコペン開発チームとがタッグを組んで情報を交換。GRの知見を活かしながら、ダイハツが実際の開発作業を進めてきたという。

ダイハツのコペン担当者は、コラボ実現の理由について「このクルマのスポーティなイメージを強めたかった」と語る。コペンはライバル(担当者は具体的に名称こそ挙げなかったが、ホンダ「S600」であることは確実)に対してスポーティなイメージが希薄だったため、そこを強調して拡販に結びつけたいとの思いがあったようだ。

一方のGRサイドも「小さくて軽いスポーツカーがGRのラインナップに欲しい」と考えていたという。そうした両者の思惑が一致したことで、今回、前代未聞のプロジェクトが結実したのである。

■ボディ&サスペンションの強化で爽快な走りを追求

コペンGRスポーツと、ベースとなったコペンとの主な変更点は、見た目と走りだ。

エクステリアでは、GRの他のモデルと同一のイメージを持つ、専用の前後バンパーやフロントグリルを採用。ランプ類にはブラックの加飾パーツを装備して見た目を引き締め、さらに専用のマットグレイ塗装を施した、BBS製の鍛造アルミホイールを装着する。

一方、インテリアのベースとなったのは、レカロ製のシートやMOMO製のステアリングホイールを採用する「コペン ローブS」グレード。GRスポーツでは加えて、背もたれ部にGRのロゴを刺繍した専用のシート生地、GRエンブレムを装着してスポーク部にガンメタリックの加飾を施したステアリングホイール、赤い針と赤の照明を採用したGRロゴ入りメーターパネル、ピアノブラックの加飾を施したセンタークラスター&ドアグリップなどを特別装備している。

しかし、コペンGRスポーツにおける最大の見どころは、なんといっても走りに関する部分だ。フロントブレースの追加やセンターブレースの大型化によって、ボディ剛性を高めたほか、専用チューニングのショックアブソーバーとスプリングを装着。さらに、電動パワーステアリングの制御を改良するほか、MT仕様にはトルク感応式のLSD(リミテッド・スリップ・デフ)まで組み込むなど、かなり広範囲に手が入れられている。

それにより具現した走行フィールは、とても爽快だ。特に車体の動きが軽快で、街中の交差点をゆっくりと普通に曲がるだけでも、心地良さを感じられるほか、タイトなワインディングで右へ左へとハンドルを切り返した際のフィーリングも絶品。なんともいえない快感と走る歓びを、ドライバーにもたらしてくれる。

ノーマルのコペンと比較すると、ステアリングを切った時のスムーズさが、GRスポーツでは格段に良くなっている。ノーマルの場合、操舵に応じて手応え(ハンドル操作時の重さ)の変化を感じられるが、GRスポーツではそうした雑味が解消されていて、スッキリとした印象。雑味が見事にろ過され、味わい深く進化していることに驚いた。

一方、強調しておきたいのは、コペンGRスポーツは乗り心地もいいということ。サスペンションを強化するといったGRスポーツ化を経ても、「ノーマルからさほど悪くなっていない」のではなく、「ノーマルよりも良くなっている」のだ。

その第一の要因は、ボディ剛性のアップ。これにより、路面の段差を乗り越えた後の振動の収まりが、かなり早まっている。それに加え、GRスポーツ化に伴い実施されたサスペンションのチューニングも、乗り心地の良化に効いている。コペンGRスポーツの開発に当たっては、気持ちいい走りを大前提としながらも、乗り心地を犠牲にしないという点にも配慮したという。GRスポーツはスポーツカーという位置づけだが、あくまで日常使いを前提とし、快適性も重視した味つけが行われているのだ。そのためGRスポーツは、一般的に走りを求めた場合に硬くしがちなバネレート(スプリングの硬さ)を、ノーマルより柔らかくしているのだという。

■その内容を考えるとコペンGRスポーツは高コスパ

そんなコペンGRスポーツ、購入を真剣に検討したいという人にとって気になるのは、やはり価格だろう。GRスポーツは、ベースとなった「コペン ローブS」に対し、約30万円高いプライスタグを掲げる。絶対的な金額だけを見ると、高いと感じる人もいるかもしれない。

しかし、子細に見ていくと、その印象が変わるかもしれない。例えば、GRスポーツに標準装備となるBBS製の鍛造アルミホイールは、コペン ローブSではオプション扱いとなり、その価格は20万円オーバー。そう考えると、GRスポーツ化による実質的な価格アップは、約10万円と思いのほか控えめだ。

コペンGRスポーツは、CVT仕様でも爽快な走りを気軽に楽しめるクルマだが、MT車ならではの楽しさを知る人にお勧めしたいのは、間違いなくMTの方だ。小さくて軽いスポーツカーで、自分の手でシフトチェンジを駆使しつつエンジンの能力をフルに引き出して走るという行為は、やはりいつの時代も楽しいものだ。

<SPECIFICATIONS>
☆GRスポーツ(CVT)
ボディサイズ:L3395×W1475×H1280mm
車重:870kg
駆動方式:FF
エンジン:658cc 直列3気筒DOHC ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:64馬力/6400回転
最大トルク:9.4kgf-m/3200回転
価格:238万円

(文/工藤貴宏 写真/村田尚之)

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