バイクも装備もレンタルしてサーキットデビュー!「レン耐」が楽しすぎた!
&GP / 2022年7月31日 7時0分
バイクも装備もレンタルしてサーキットデビュー!「レン耐」が楽しすぎた!
サーキットでレースというと「やってみたいけどハードルが高い」と思っているバイク好きは多いはず。でも、レンタルできる125ccクラスのバイクで楽しめて、ツナギやブーツなどの装備も借りられるとしたら? 「ちょっと楽しそう」と思えてくるのではないでしょうか。そんなレースが「レン耐」です。仲間と一緒に走れる耐久レースで、しかも目を三角にして順位を競わない仕掛けもいろいろと用意されています。バイク乗りの休日アクティビティとして楽しめる、そんなレースに参戦してみました。
■マシンもツナギもレンタルでサーキットを楽しめる
サーキット走行というと、富士スピードウェイや筑波サーキットといった大きいサイズのサーキットを思い浮かべる人がほとんどだと思います。しかし日本には、そこまで大きくない1周1km程度のミニサーキット(ミニバイクコースやカートコースとも呼ばれる)が実はたくさんあります。
そうしたコースを排気量の小さいバイクで走るのは、転倒時のリスクが少ないうえに、対向車も歩行者もいないクローズドコースを全開で走るというサーキット走行の楽しさはしっかり味わえるので、サーキットデビューにはかなりおすすめ。むしろ、大きなサーキットを走るより楽しいと思えるくらいです。
「レン耐」が開催されるのは、そういうサーキットになります。
今回は埼玉県にある「桶川スポーツランド」が舞台。小さいとはいえ、ここで修行を積み、世界GPに参戦するところまで上り詰めたライダーも少なくない名門コースでもあります。
参戦メンバーは筆者の昔からのバイク仲間2人と、その娘さんのアミちゃんの4人。40代のおっさん3人と女子大生という異色(?)のチーム。でも「レン耐」では、親子での参戦も結構あって、過去には親子孫の3代で参戦したチームもあったとか。クローズドコースで行われるため運転免許は必要なく、家族アクティビティとしても楽しめそうです。
レンタル車両はホンダの「グロム」が中心。125ccですが「グロムカップ」というレースも開催され、レースベース車も販売されているポテンシャルの高い車両です。特に今回は5速ミッションになった最新モデルでのレースなので、その性能も楽しみ。
そして、サーキット走行を楽しみたいと考えたときに、ハードルのひとつが革ツナギやブーツなどの装備です。購入するとそれなりに予算が必要ですし、サーキットに友人を誘ったときに「ツナギがないから」と言われるのもよくある話。しかし「レン耐」では、レンタルの革ツナギやブーツ、グローブなども用意されています。しかも結構キレイ、というかちゃんとした物が借りられます。今回、筆者が借りたものも新品に近い物でした。
■速さだけでなくレースを楽しむための工夫も
レース前には、サーキット走行の基礎を学べる初心者講習が受けられます。レース中に振られる旗の意味などの座学から、実際に走行してコースを覚えたり、ピットイン・アウトのやり方を学んだり。初めてサーキットを走る人だけでなく、レースは久しぶりという人にも役立ちます。
その後は、練習走行でマシンやコースの状態を確かめてレースの準備をします。といっても、革ツナギに着替える以外はピットインのサインボードを作るくらい。
ちゃんとしたボードを持って来ているチームもありましたが、我々はダンボールにマジックで「P」の文字を描いて使いました。
そして、いよいよレースがスタート。
スタートは耐久レースらしく、いわゆるルマン式。マシンまで走って行って、3時間のレースがスタートします。この日は暑かったこともあって、1人15〜20分くらい走ったらピットインしてライダー交代する作戦。レギュレーションでピットインの最低回数も定められているので、速いライダーを走り続けさせることはできなくて、参加者全員に走る機会が与えられています。
スタートの並びはゼッケン順で、5番だった我々のチームは結構いい位置。スタートがスムーズに決まったこともあって、一時はトップを走る場面も! ただ、すぐに速いチームに抜かれ、以降は混戦になっていて順位はよくわかりません。
そしてピットイン時に、ピットロードは車体を降りて押さなければならない決まりです。暑い中、走り終わって革ツナギのまま押すのは結構キツい…。
また、ピットインの3回に1回はミニゲームをこなさないといけない規定になっています。これも、速さだけでなく楽しむことを優先したレースらしいところ。走行後にヘルメットをかぶったまま、細かい作業のゲームをこなすのはなかなか難しく、その間は後ろのチームもピットに入れないので、ピットインのタイミングも順位に結構影響しそうです。
さらに、レース中盤にはチームの代表者が呼ばれ、サイコロを振ってその時点での下位のチームに周回数が加算されるシステムも。速いライダーを揃えるだけでは、勝てない仕組みになっているのもユニークなところです。
順位はさまざまな要素で入れ替わりますが、コースを走っているときは、そんなことを考える余裕はありません。
当たり前ですが、コース上にはレース参加者しかいないので、速く走ることだけに集中できます。125ccのエンジンなので、アクセルは心置きなく全開にできるし、コーナーごとにラインを考えたり「もっと深くバンクさせてみよう」とチャレンジできたりするのが楽しい。一般公道ではできないことも試せたり、バイクに乗ることに集中できるので、サーキットはめちゃめちゃ面白い。あっという間に、自分の走行時間が終わり、次の走行順が回ってくるのが楽しみになります。
久々のサーキット走行を楽しんでいる間に、3時間はあっという間に終了。終わってみると「もっと走りたかった」と感じて、次も参加したくなります。「レン耐」にリピーターが多いのは、こういうところに理由があるのかもしれません。サーキットという非日常なシチュエーションからくる適度な緊張感と疲労感、それに仲間と一緒にレースを走りきった達成感がたまりません。
■順位は気にしてなかったけど、まさかの表彰台!?
久しぶりのレースが楽しくて、正直なところ順位は途中からまったく気にしていなかったのですが、レースが終わって談笑しているとアナウンスに呼び出されました。何だろうと行ってみると、まさかのクラス3位入賞! まったく予想していなかった表彰台です。
表彰式では、ちゃんとシャンパンファイトもあったり(中身はサイダー)、主催者の青木拓磨さん(世界GPも走ったレジェンドライダー)と記念撮影に収まったりして大満足。取材であることを忘れてしまうような楽しい1日でした。
ちなみに「レン耐」では、女性ライダーはピンクのビブスを装着し、走行妨害をしたり、無理に追い越してビックリさせて転倒させてしまったら失格などの優遇措置がいろいろとあります。なので、参戦するなら女性ライダーを誘うのがおすすめ。
今回一緒に走ったアミちゃんもかなり楽しかったようで、次に走るときも絶対に誘ってほしいと言われました。初心者にも女性にも優しいレース、サーキットに興味がなかった人でも一度走ってみたらヤミツキになるはずです。
>> Let's レン耐!
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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