【M・ベンツ Cカブリオレ試乗】4番目のバリエはCクラス初の“粋”な4座オープン
&GP / 2016年12月4日 19時0分
【M・ベンツ Cカブリオレ試乗】4番目のバリエはCクラス初の“粋”な4座オープン
2014年7月、日本でデビューを飾った4世代目のメルセデス・ベンツ「Cクラス」。
セダン、ステーションワゴンに続き、2016年3月には2ドアクーペが追加されるなど、順調にバリエーションの拡充を図ってきました。そして、去る9月28日には、Cクラス初となるカブリオレが、ここ日本でもデビューを飾りました。
確かにCクラスとしては“初”ですが、実は初代と2世代目ベースとした2ドアクーペ「CLK」にも、4シーターのカブリオレが設定されていました。このCLKには、かつてW124型「Eクラス」に用意された4シータークーペ/カブリオレの市場を担うという意図があり、エクステリア、インテリアともにディテールは、独自の意匠を採用していました。
しかし、CLKのエクステリアには“生真面目な優等生がちょっと背伸びした…”というイメージも少なからずあったような気がします。もしかしたらこれは、新しいCクラス カブリオレの端正なスタイルを目の当たりにした、元CLKオーナーのひがみなのかもしれません。
ともあれ、4人乗りとしては十分なスペースを確保しながら、コンパクトにまとめられたソフトトップ、伸びやかで天地に浅いボディからなるCクラス カブリオレのエクステリアは、スタイリッシュで洗練された佇まいであるのは間違いありません。
■洒落たコーディネートを楽しめるのもカブリオレの魅力
Cクラスのラインナップに新たに加わったカブリオレですが、そのベースとなったのは、先にデビューを飾ったクーペです。Cクラスは4世代目への進化に当たり、ボディをひと回り拡大しており、今回ドライブした「C180 カブリオレ スポーツ」の全長は4705mm、全幅は1810mm、全高は1405mmという堂々たるサイズ。「Aクラス」や「Bクラス」といったコンパクト系モデルの存在を考えると、妥当と思えるサイズアップではありますし、これが伸びやかなスタイリングにつながっているのも、また事実でしょう。
ルーフを閉じた状態で車内へ乗り込むと、ソフトトップとは思えないほど遮音性がしっかりしていることに気づきます。エンジンをスタートして走り出しても、その印象は変わることなく、高速道路を法定速度で走行する程度では、車内の快適性が損なわれるようなこともありません。もちろん、車内側で幌骨などのメカニズムが見えることもありませんし、リアウインドウもガラス製なので、十分な後方視界も確保されています。
なかなかスキのないCクラス カブリオレですが、身長180cm以上の人がリアシートに座ると、頭とルーフライナーの間隔はギリギリ、という感じではあります。しかし、膝や肩まわりの空間は確保されており、日帰り程度の距離であれば、窮屈さを感じることはなさそうです。
ソフトトップの開閉は、センターコンソールのスイッチで行います。開閉に要する時間は20秒ほどで、約50km/hまでは走行中でも操作可能となっています。また、ルーフやウインドウを全開状態で停車しても、リモコンキーのボタンひとつですべてを閉じることができるので、急な天候悪化でも慌てる目に遭うこともありません。
C180 カブリオレ スポーツではオプションとなりますが、風の巻き込みを低減するフロントウインドウ上部の“ディフレクター”、後席背後の“ドラフトストップ”、フロントシートには温風を首もとに送る“エアスカーフ”も用意されています。
これらを使用すれば、真冬のオープンエアドライブも快適そのもの。「あの人、冬だというのに…。相当なオープンカー好きなのね」という視線さえ気にならなければ、高速道路だろうが市街地だろうが、ついついルーフを開けたくなってしまうほど。といえば、その完成度の高さがお分かりいただけるのではないでしょうか。
また、カブリオレならではのお楽しみとして、ボディとソフトトップのカラーコーディネートも忘れてはいけない魅力といえるでしょう。グレードやボディカラーにより、組み合わせられるソフトトップのカラーは限定されますが、ブラックのほか、ブルーとダークレッドが設定されています。試乗車のように“白ボディ×赤トップ”という、メルセデス最上級のオープンカー「Sクラス カブリオレ」に勝るとも劣らない、伊達でゴージャスな組み合わせも用意されています。
さて、手軽にオープンエアドライブを楽しめる一方で、車両重量が1710kgと、クーペに比べ140kgほど増加しているのは仕方のないところ。このボディシェルには高張力鋼板と超高張力鋼板のほか、車体の前後部分を中心にアルミ材が組み合わされており、十分なボディ剛性と安全性が確保されています。実際、高架橋の接続部や舗装の目地段差が続く首都高速を巡航する限りでは、ステアリングやフロアに不快な振動などが伝わることもなく、インテリアのパーツ同士が擦れる音が生じることもありませんでした。
搭載されるエンジンは、1.6リッターの直4ターボ。最高出力は156馬力、最大トルクは25.5kg-mで、ギヤボックスはステアリング裏に備わるパドルでの変速も可能な、電子制御9速ATが組み合わされます。
もちろん、爆発的な加速こそ望めませんが、エンジンやトランスミッション、ステアリングなどの特性を制御し、「コンフォート」「エコ」「スポーツ」「スポーツプラス」「インディビジュアル」の5モードに切り替えられる“ダイナミックセレクト”も装備されており、これで「スポーツ」「スポーツプラス」を選んでおけば、ダイナミックで小気味良いドライビングを楽しめます。
エンジンは、2000回転以上であればトルクフルな印象ですが、低めの回転でシフトアップする「エコ」モードはかなり穏やかな設定となっています。好みの問題もありますが、ストップ&ゴーが続くようなシチュエーションでは、「スポーツ」モードの方がストレスを感じることなく流れに乗れるかもしれません。ちなみに、市街地で「エコ」モードと「コンフォート」モードをメインにして走行した時の燃費は、約12km/L。車格を考えると良好といえるでしょう。
また、最適な車間距離を自動的に保つ“ディストロニック・プラス”、レーダーや超音波センサーなどを駆使することで衝突を回避する“PRE-SAFEブレーキ”など、メルセデス最新の安全装備や電子デバイスも全グレードに標準装備となっています。
日本導入からまだ間もないCクラス カブリオレ。現在のラインナップは、606万円のプライスタグを掲げるC180のほか、2リッターターボを積む「C300」(受注生産)、3リッターツインターボ搭載の「AMG C43 4マチック」、4リッターツインターボを積む「AMG C63S」の4モデルを用意しています。何はともあれ、Sクラスカブリオレにも通じる瀟洒なメルセデスが、606万円から手に入るというのは、ちょっとしたニュースかもしれません。
<SPECIFICATIONS>
☆C180 カブリオレ スポーツ
ボディサイズ:L4705×W1810×H1405mm
車重:1710kg
駆動方式:FR
エンジン:1595cc 直列4気筒 DOHC ターボ
最高出力:156馬力/5300回転
最大トルク:25.5kg-m/1200~4000回転
トランスミッション:電子制御9速AT
価格:606万円
(文&写真/村田尚之)
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