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食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE10 竹山仁愛 (ニア) 「NiaGohan」 料理研究家

Hanako.tokyo / 2024年3月29日 12時0分

食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE10 竹山仁愛 (ニア) 「NiaGohan」 料理研究家

おいしいものを作る人、おいしい場所をプロデュースする人。
食に関わるプロフェッショナルのセンスを、プライベート空間のインテリアから学びます。

竹山仁愛(ニア) 「NiaGohan」 料理研究家

たけやま・にあ/ベトナム・ダラット出身。結婚後の2011年に日本に移住する。都内のフレンチ、イタリアンでキッチン、サービスを経験し、ベトナム本国でも料理人の下で料理を学んだ後、2019年ベトナム料理教室「NiaGohan」開始。

本連載「HOME SWEET HOME」の記事一覧はこちら。

オーダーメイドのキッチンの作業台が主役。

子育て環境を最優先に考えて借りたマンションも、長く暮らせば離れがたい魅力がいろいろ。オーダーメイドの作業台と、窓から見える空、緑に、ベトナムを感じる暮らし。

上・天板が大理石の作業台は、料理教室の生徒である原瑞枝さんの〈P.D.S. ARCHITECTS〉に依頼。下・北ベトナム伝統のバッチャ焼きの器。約100年前の希少なもの。

東京都練馬区の自宅マンションで、ベトナム料理教室を開いている。最寄り駅からは徒歩で約10分、近隣の駅からのバスもあるが、「生徒さんたちがもう少し通いやすくて、買い物にも便利な場所に引っ越したいんですけどね」と、ニアさんは話す。ベトナム・ダラットの出身で、日本人の夫とベトナムで結婚後、子育ての環境を考えて12年前に日本に移住した。夫の実家の近所で住まいを選んだが、今や子供たちは二人とも高校生に。学校の心配をせずに住む場所を選べるようになったが、いざ探し始めると理想の物件はなかなか見つからないのだという。



自慢の調理台を設えた空と緑が見える部屋。

ダイニング。大手インテリアショップで購入したテーブルと本棚は、作業台と合わせて〈P.D.S. ARCHITECTS〉と一緒にデザインする予定。

独立型キッチン。家具や家電を白で揃え、清掃、整理整頓もすみずみまで。

納戸に木の棚を造り付け、調理器具や調味料、食材などを並べ、パントリーとして活用。キッチン同様、ニアさんの“聖域”。

約90㎡の3LDKの住まいは、日本が高度経済成長期だった1
970年代、郊外に建てられた大型マンションの一室だ。築年数は古く、賃貸契約だからリノベーションもできないが、離れがたい理由もある。
「広い廊下は、古いマンションならでは。パントリーとして使える納戸があるのも仕事に好都合なんです。窓からの景色も開放的で、うちの区画からは高木がちょうどよく見えて」

故郷のダラットは、高原の避暑地として知られる。美しい自然に囲まれて育ったから、空や緑が見える環境は譲れない。
インテリアのアイコンになっているのは、日本の建築家に設計を依頼し、ベトナムで製造したオリジナルの調理台だ。木の素材感から引き出しの取っ手などのディテールまで気に入っていて、充実の収納の使い勝手にも大満足。何より叶えたかったのは、大理石の天板だと言う。
「一枚板の天板は高価だけれど、見た目にも重厚で美しく、手入れも簡単。パンの生地を捏ねるのも格段に楽しくなりました」

日本でも人気のベトナムのサンドイッチ、バインミーはパンから手作りする。
「フランスのバゲットほどハードでなく、皮は薄くパリッとしていて、中はしっとりきめ細やか。このパンでないと味が決まらず、日本のパン屋さんにもなかなかないので、何度も改良を重ねました」

現地の屋台で新聞紙に包まれて手渡されるバインミーは、縦向きに持ち、パンと具材をぎゅっと手でつぶしながらほおばるのが正解なのだとか。レシピだけでなく、食べるシチュエーションや楽しみ方なども含め、ベトナムの食文化を伝えている。

教室の生徒さんたちが楽しみにしているのが、ニアさんと行くベトナム食旅。ダラットにも足を延ばすコースでは、ニアさんの実家に立ち寄ることもある。曽祖父がフランス人だったことから、天井が高い建物にはどこか洋風の趣がある。広い庭にはマンゴーなどの木々が繁り、古きよきベトナムの生活風景が垣間見えるのだ。



寛ぎの時間は猫と、ナチュラルワインと。

1棟が100戸を超える大型マンションの一室。広い廊下を隔て、子供部屋として使う北側の洋室2室の独立性が保たれている。南側のバルコニーもゆったりしている。

子供の頃は両親と祖父母に加え、父親の兄弟たちも一緒に暮らす大家族で育った。親族が集まるとなれば、女性たちが揃って台所に立ち、ごちそうを作って、みんなで食卓を囲む。大の食いしん坊になったのは、そんな家庭環境が大きいと話す。膨大なベトナムの器や調理器具のコレクションの中には、実家から譲り受けた希少なものも多い。

仕事の旅とはいえ、故郷で過ごす時間は心地よく、行くたびに新鮮な刺激もあるのだが、長くなれば日本が恋しくなる。理由の一つは、まだベトナムではレアなナチュラルワイン。食べることと同様、お酒も大好きで、ここ数年ですっかりハマって、ワインセラーを購入したほど。もう一つは、新しく家族に加わった二匹の猫だ。子供たちの手が離れた時期に迎えたから、かわいさもひとしお。次の家探しの条件には「猫が寛げる空間」という項目が加わっている。

生地にこだわりパンから作るバインミー。

子供たちの好物ゆえ、頻繁に作るバインミー。納得のいくパンが見つからず、生地から研究して作った自信作だ。皮を使わないベトナムのシウマイのトマト煮と、卵黄とにんにく入りのベトナムマヨネーズ、なます、青唐辛子をサンド。ニアさんは生ハムとベトナムマヨネーズだけ挟み、ワインのつまみにも。

ESSENTIAL OF NIA

大切なものはきちんと。整理整頓の徹底が生む美しい景色。



( STRAGE )
使い勝手を計算し尽くした収納。
オーダーメイドの作業台の下は、機能的な収納に。教室時、生徒さんが立つ側にカトラリーなどのテーブルウェアを、ニアさんサイドに調理器具を。




( TABLEWARE )
古いものも多数、ベトナムの器。
100年を超えるオールドバッチャや、40〜50年もののソンベ焼きなど、今や入手困難なベトナムの器も多数所有。食器棚も整理が行き届いている。




( WINE )
大好きなナチュラルワイン。
料理仲間の影響でハマったナチュラルワインは「ベトナム料理との相性も最高」。90本入りのセラーも満杯。好みの、やや低めの温度で管理する。


photo_Norio Kidera illustration_Yo Ueda text & edit_Kei Sasaki

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