東京のおっちゃんはかわいくない ~1分でわかる大阪人の言い分~
インフォシーク / 2013年2月27日 17時30分
大阪には変なおっちゃんが多い。
一口に“変”といっても、スケベ行為や公金の横領といった目先の欲求で人生を棒に振るような変人ではなく、とにかく変わったおっちゃんが多いということ。そして大阪人は大阪の変なおっちゃんが大好きだ。
大阪はオバチャンのインパクトが強過ぎるせいか近畿地方を離れると大阪のおっちゃんに目を向けられる機会がなかなかない。
そういえば私自身もオカンとの印象深いエピソードを東京の友人に話す機会はあっても、おっちゃんのことを話したことは不思議と一度もなかった。
なんでこれまでおっちゃんの話せんかったんやろう、と考えてみた。そして私の答えは、きっと大阪のおっちゃんの面白さは東京人にはなかなか伝わりづらい面白さだからだ。
オバチャンはあっけらかんと好きなことを言いまくり、喜怒哀楽をむき出しに生きるのに対し、愛すべき大阪のおっちゃんは、むしろその逆。
実直に淡々と生きてきた後、歳を重ねるごとに奥さんが元気なオバチャンと化したことで反対に物凄く大人しくなった姿がおっちゃんの基本スタンスである。
中高年層の夫婦に見られるまるで夫婦漫才のような会話は、だいたいが宮川大助・花子氏のフォーメーション。どういう部分が大助花子かを説明すると、たとえば和食店の入口で夫婦揃ってメニュー表を見ているとする。
花子「アンタなににするのん?」
大助「えー、なんやろなあ。なんでもええなあ」
花子「アンタはほんまなに食べても一緒やから、もうなんでもええんちゃう!」
大助「あぁ、せやな。」
このように終始オバチャンに圧された会話が続き、最後はおっちゃんが折れる状態を指す。そんな会話が耳に届くとキュンときてしまう。おっちゃんめっちゃかわいい、がんばれ。と、エールを送りたくなる。
動物の柄が付いたジャージが似合う見た目がいかついおっちゃんも、「おもろいこと、なんでも言うたるで!」と立ち飲み屋でたまたま隣になると会話が始まるのを待ち構えるおっちゃんも、東京人をはじめとする大阪のおっちゃんに免疫がない人は見た目先行で後ずさりしてしまうかもしれない。
だが、みんなオバチャンの前では大人しくかわいくまとまるおっちゃんなのだ。
大学の頃だったか、難波・アメリカ村で買い物を済ませ家に帰る電車内でオバチャンが突然「兄ちゃんおなか空いてるんとちゃう?ほらこれ、さっき買うてきてん」と突然パンをくれたときも隣にいたおっちゃんはオバチャンの隣で挙動不審に突っ立っていた。そのかわいさに思わずいただいたくるみパンは忘れられない。
阪神ファンが9割を埋め尽くす甲子園球場で例のごとくタイガースを応援しに行ったとき、隣になったおっちゃんは遠くを指差し「あの看板見える?あれな、おっちゃんのとこやねん」と誇らしげにニコニコと話してくれた。
それが試合終了までの3時間、ずっと繰り返してくれたのもかわいかった。
同じく大学時代。作品制作に追われていた私は未開の地で写真を撮ろうとある競艇場へ出かけた。
すると目の前に広がる世界はおっちゃんの密集地。ボートが出走し声援と罵倒が轟く。おっちゃんの腹から発する強烈ながなり声は飲食店の入口では聞いたことがない。威勢よくオバチャンに対抗したところで一枚上手なオバチャンから返り討ちに遭うからだろう。そしてゴール。すると後ろの方にいたおっちゃんがツーと静かに涙を流したのだ。しかも名物のソフトクリームを片手にしっかり持ちながら。かわいすぎる。
東京で大阪のどこに行っても出くわすかわいいおっちゃんテイストの人を見たことがない。ファッションセンスの高いおじさんや背中に哀愁を漂わせて家路を急ぐ終電間際のおじさんをかわいらしいとは思わない。そう、おっちゃんではなく、おじさん。美しい身のこなしをもつ東京のおじさんのほうが東京女性からしてみればステキかも知れない。しかしながらそのステキの基準は性的な話でしかない。大阪弁で言うところの、ええ格好しい。つまりキザな中年が多い。
つまり、大阪の面白いイメージは、オバチャンを引き立たせているおっちゃんに価値がある。
そしておっちゃんのことをオバチャンは誰よりも愛し、愛するがゆえにきついツッコミを投げ、大阪のおっちゃんは今日も静かに暮らしている。
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。
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