本音のコンテンツマーケティング (2)何がコンテンツになりうるのか/猪口 真
INSIGHT NOW! / 2015年8月10日 10時2分
猪口 真 / 株式会社パトス
昔(10年ほど前)、C向けのEコマースサイト運営のお手伝いをしていたときに、Webサイトに人が集まるにはコンテンツが必要だということになり、何がいいかを検討することになった。
そのときのミーティングに参加していた人たちは、それぞれ完全に「コンテンツ」の意味をバラバラに抱いており、ある人は、星座・運勢占いや心理テスト、ある人は簡単なゲームやクイズ、ある人は自社の開発者の声や商品コンセプト、と何か意見が出るたびに、「そういうのがコンテンツなの?」とそれぞれがお互いに思っていた。
一方、コンテンツというと、「うちの会社にはコンテンツがないから」あるいは「あそこはコンテンツを持っているから強い」などという表現を我々はよくしていた。
このときのコンテンツというのは、ほぼ、商品やサービスの根っこにある「知的財産」のことをさし、商品やサービスが支えられている、オリジナリティのあるハイクオリティの知恵や知識、知財、といった意味で使うことが多かった。
こうした背景を経験してきた人たちが「コンテンツマーケティング」を展開しようとすると、「コンテンツマーケティングのコンテンツってほんとは何?」などと思ってしまうのはいたしかたないことだ。
現在、コンテンツマーケティングの重要性が叫ばれ、市民権を得るなかで、ある程度の定義はされてきたとは思うが、自信を持ってコンテンツマーケティングを実践していると胸を張れる人がいったいどれだけいるのだろうか。
しかし、すでにコンテンツマーケティングを発展させ、「ブランドジャーナリズム」的な位置づけとして、完全に企業のメディア化戦略の中枢となり、ビッグカンパニーとしてのPR戦略の主軸としようとしている企業すら出てきている側面もある。
こういう観点からいくと、コンテンツマーケティングのコンテンツとは、もはや自社ソースに限ったことではないし、「edit」(編集)し、「curation」する(まとめる)ことでオウンドメディアが展開できたりする、ある意味、メディア化、プラットフォーム化の流れだと言えるかもしれない。
とはいえ、大半の企業は大々的に自社Webサイトにコンテンツを集積しメディア化するなど到底できず、少ない予算の中でコンテンツ集めに奮闘しなければならないわけだから、長期的には、自社Webメディアを「ブランドジャーナリズム」として確立することをめざしながらも、新規見込み顧客開拓、既存顧客のロイヤリティ向上、ブランドイメージ確立のために、なんとか「売り」一辺倒のメッセージから逸脱すべく奮闘することになる。
コンテンツを自社ソースのオリジナル性という観点から離れられないと、ひとりでホワイトペーパーを一生懸命つくってみたり、調査結果分析を抱えてしまったり、いわゆるコンテンツづくりが大きな負担となってしまう。
昔、自社(自分)のコンテンツであるならば、それについて2時間ぐらい堂々と話せるようにならなければならない。と言っていた人がいた。
また、あるコンサルタントは、レポートを書くなら2枚か200枚(思い切り簡潔か、じっくりと大作を)だ、と言っていたこともあるらしい。
それはそれで立派なコンテンツとなるだろうが、継続できるのかというと、かなり怪しくなってしまう。
コンテンツマーケティングのコンテンツとは、あなたの会社とお客様をつなぐ「ネタ」なのであり、それは、あなた自身が語るものでもいいし、会社のいろいろな立場の人でもお客様でも、まったく異なる立場の人が語ってもかまわないはず。
そこに、メッセージメディアとしての目的と、お客様へ貢献できることがはっきりしていれば、何も問題はないはずだ。
企業によっては、プロモーション戦略に偏ったり、プロダクト・マネジメント的な要素が強くなったりするかもしれないが、それでもかまわない。
お客様があなたの会社の商品を購入するのは、お客様のニーズを満たす手段でしかないのだから。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
YouTube登録者数150万人突破のビジネス映像メディア「PIVOT」が自社アプリに「KARTE for App」を導入
PR TIMES / 2024年5月13日 10時45分
-
ECビジネスで成功する人・失敗する人の決定的差 「コンビニやDS」で手に入らないモノに商機あり
東洋経済オンライン / 2024年4月30日 16時0分
-
SATORI、人気コンテンツを集約した「マーケティングキャンプ」を期間限定で公開
PR TIMES / 2024年4月26日 10時45分
-
「時代遅れ」を感じた小売業が実践すべき「出島戦略」とは?
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年4月22日 20時59分
-
エンタープライズIT新潮流 第25回 マイクロソフトで学んだ「イケている製品」の作り方
マイナビニュース / 2024年4月22日 9時0分
ランキング
-
1飲むヨーグルトが「乳酸菌バブル」でジリ貧の理由 市場は逆転寸前、かつての人気を取り戻せるか
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 7時20分
-
2東京から新幹線…「新神戸」よりも、一駅先の「西明石」まで買った方がおトク!? JR往復割引「601キロ」のカラクリ
まいどなニュース / 2024年5月19日 8時2分
-
3消えゆく「回転レストラン」…80年代には全国50店→再開発・老朽化で数店舗に
読売新聞 / 2024年5月18日 15時0分
-
4ローソン、コーヒーなどの「濃さ」選べる仕様に 背景に“客離れ”回避
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月19日 8時0分
-
5都内「自転車が命がけ!」危険スポット5選 「左折車こわっ!」「マジで、ここ進むの…?」
乗りものニュース / 2024年5月19日 8時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください