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第三回:10年前のISOから脱却できる『魔法の質問』/古江 一樹

INSIGHT NOW! / 2015年12月17日 8時55分

写真

古江 一樹 / 株式会社ISO総合研究所

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(前回のあらすじ)http://www.insightnow.jp/article/8865

・自動車製造業『プリ機械』で働く26才の磯川。

・将来の工場長にと社長の期待も高い優秀な若手。

・ISO前担当の山田が退職になると同時に社長からISO担当に任命される。

・現状を把握しようと全担当の山田の机に向かい、山のような文書と出会う

・検索するとISO9001もISO14001も今はシンプルに運営できるらしい

・しかし自社のルールは複雑。彼はこれを打破しようと決心した。

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-当社のISO9001、ISO14001は10年前に作ったまま放置されている。これは当社の実態に合わせて変えてiけるんだよ!-

グーグル先生からこれを教わった磯川は、まるで,何百年間も開けられなかった深海に眠る海賊の宝箱を見つけたかのような高揚感を覚えた。

頭の中がすっきりしたら、磯川は強い。放置された荒れ地をまっ平に整地する重量級ブルドーザー顔負けに、パワフルに動き出せる。磯川のパワフルさは、かつて会社を救ったことがあるくらいである。

昨年12月、プリ機械は設立以来最大の危機ともいえる塗装不良問題が勃発した。工場長の酒井は検査工程に人員を廻して流出防止に取り組んだ。これにより一時的に不良流出が止まり大問題は回避できたのだが、その裏、根本原因は放置されたままの状態。

従業員の疲弊が目に見えてわかるようになっていた。

手直しによる製造原価アップも会社そのものも疲弊し始め、プリ機械はずるずるとダークサイドへ導かれているともいえる状態にあった。

“このままじゃまずいな・・・”

磯川は自分の中で一番のブレインである、取引先の品質管理部長の田中に相談しに走った。「放置してるととんでもないことになるぞ。すぐに塗装工程や関連する前行程をすべて見直した方がよい」こう教わった磯川は、昼も夜も関係なくブルドーザーとなって製造ラインを見直した。その結果、一部工程の管理方法を変更し、金属部辺の角に丸みを加える加工を技術の対応を思いついた。これを展開したことで、この塗装不良を撲滅できた。

磯川は、同じくブレインである田中部長にISOの件も相談してみた。『よい会社があるよ』と教わった会社が、『ISO総合研究所』であった。とにもかくにも、磯川は電話をしてみることにした。

「お電話ありがとうございます。ISO総合研究所の後藤がお受けいたします」

電話の声の男は、ちょっと甲高い声だが第一印象は悪くない。“これなら・・・”と田中部長に紹介してもらって連絡したことを伝えた。「実は当社は昔ながらのISO9001やISO14001のルールのままで運営していましてね。これを変えていきたいんです・・・」

10分ほど電話で相談した結果、近くにいるコンサルタントが今日の夕方にも来てくれることになった。

「ウ―――」

役場の16:00のサイレンがなると同時に、コンサルタントの方が来訪された。

来訪したコンサルタントは前田さんとおっしゃり、スタッフページにも載っているコンサルタントの人だった。なんだかちょっとホームページでみてる人に会えたら嬉しい。

打ち合わせスペースに案内した瞬間「こりゃまたすごいですね!」2人のコンサルタントの苦笑いが止まらない。

磯川は来訪の16:00に合わせて、すべての『ISO関連文書』を机のまわりに並べておいたのだ。少しでも当社の実情を早く理解してもらうためにはすべてを見てもらうのが一番だろうと準備しておいたのだ。打ち合わせスペースはまるで冷たく硬い動物園の檻のように、紙が綴じこまれたキングファイルに囲まれていた。であった。

“さあ、これを本当になんとかしてもらえるんだろうか?”半信半疑のまま磯川は席に着いた。

開口一番だった。

「安心してください。なくせますよ。」

磯川は一瞬耳を疑った。

まだ何も伝えていないのにすでに伝わっている。

「後藤から電話の内容を聞いています。これが10年前からのルールなんですね。なるほど。ボリューム満点ですね~。でも安心してください。ISOは、実務で必要なものだけで運営できますから。」

「ほんとうですか!?」

磯川は、思いっきり後頭部を鈍器で殴られたくらいの衝撃を受けた。じゃあいまの俺らのISOっていったいなんだのだろう?10年間、いったい何をしてきたのだろう?

そうすると、前田さんはゆっくり話し始めた。どうもこの人はおしゃべりがすきそうだ。

「磯川さん。実はね。ISO9001やISO14001の無駄に気付ける『魔法の質問』があるんです。」

「魔法の質問??」

「はい。魔法の質問しりたいですか?」

「もちろん、教えてほしいです!気づけるのですよね??」

「ではお聞きしますね。具体的にお聞きしたいので、ここに積んである文書類が何か一覧表になっているものありますよね?ISOでは『文書一覧』みたいなものをよく作っているのですが、わかりますか?」

「はい。たし『文書台帳』ってのがありました」

磯川は、前田さんの前に『文書台帳』をおいた。

「ありがとうございます。では磯川さん。ここに『購買先評価表』という書類があります。もしもの話ですが、もし、御社がISOをやめたとしたら、『購買先評価表』は続けますか?それとも辞めちゃいますか?」

「もしISOをやめたらだって・・・?」

想像もしていない質問だった。ISOをやめるなんて考えたことなかった。“もしやめたらか・・・?” 磯川は考えたことない質問ながらも、ちょっと想像したらスグに答えがでたのを感じた。(つづく)

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