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経営戦略構文100選(仮)/はじめに/伊藤 達夫

INSIGHT NOW! / 2016年3月7日 14時34分

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伊藤 達夫 / THOUGHT&INSIGHT株式会社

「こんなものは戦略ではない!」

私はけっこうこのように言われます。ショックです。傷つきます。見た目と違って意外と繊細なのです。経営者に言われると言うよりは、クライアント企業のメンバーに言われます。

私のキャラのせいか、人間が腐っているからか、クライアントの現場の人から嫌われるんです。いやー、せつないですね。

私が御呼ばれする時点で、発注者は自分のスタッフの手に余る判断をしていますからね。私の存在自体が自己否定みたいなもんですから、私を罵倒したい気持ちはとてもよくわかります。カネが貰えるなら罵倒されてもいいと言えばいいですけどね・・・。

でも、発注者から嫌われていては飯が食えませんので、発注者には好かれていると信じています。当然、いつも絶賛されています。

その他なべての言葉と同様に、「戦略」という言葉も、多くの人の多様な想いが込められる形で使われています。この状況の中で、「じゃあ、戦略って何なんですかね?」という問いに、しっかりと答えられる人は少数だと思います。

それで、こういう状況が少しでもよくなって、私が罵倒される機会が減り、戦略へのナレッジが広まるといいなあと思いながら、戦略について本を書いているのですが、これがまたなかなか進まないのです。それなりに忙しいですからね。本を書くより目先のおカネが大事なのです。

担当編集者の進捗ポエムの攻撃を受けて心をすり減らしつつ、少しずつ、少しずつ書いていて、ようやく2万文字ぐらいかけてきました。着地は最大でも12万文字ぐらいでしょうから、進捗度20%程度です。

ただ、出版の世界には「戦略」と名を冠した本は既にたくさん出ています。ただ、ミンツバーグの『戦略サファリ』は10のスクールに戦略を分類して解説していますが、自分に都合よいポジショントークが多く、多分にポエティックで読みにくいですし、クレイナーの『マネジメントの世紀』は、前の半分の数百ページはマネジメントについて書いおりますので、忙しいビジネスパーソンとしては途中で挫折して戦略部分までたどり着かないでしょう。

といったことを鑑みて、100個のバラバラの構文形式にして、好きなところを好きなように読んでくださいという形にすればきっと役立つ形で読めるでしょうと「経営戦略構文100選(仮)」というものにしてみました。

多分、タイトルは、出版時にはもっとスタイリッシュで、書店受けする、きっと仕事をしなくても食えるぐらいたくさん売れてくれる、ものを出版社さんのほうで用意してくれる予定です。

それで、いつもいつも思うのですが、なんで日本ではドラッカーやレビットなどがいまだに幅を利かせているんだろうと思うんです。狂信的な信者の方々がいらっしゃるせいか、嘘にまみれたビジネス書が書店には相当積んであります。

日本は米国に遅れること数十年な感じではありますので、仕方ないかなあと思いつつ、これがいきなりティースとかそのあたりまで来たりはしないでしょうけど、せめてポーターぐらいまで来るといいなあと思っています。

ただ、レビットをベースにしたビジネス書が累計数百万部という状況は、ちょっと恐ろしいと思うわけです。

私が言うまでもなく、多数の学者さんたちの強烈な批判にさらされてきた『マーケティング近視眼』でありますが、読むとけっこう元気になってしまうので困りものです。私としても全く正しくはないと思いますし、いわゆる大家で言うと、ミンツバーグが『マーケティング近視眼の近視眼』という文章を書いています。

レビットのせいで、「飛行機などの登場によって衰退してしまった鉄道会社は、人や物を目的地に運ぶことを使命と捉えず、単に鉄道を動かすことを使命としてしまったことが衰退の要因だ」ということをまことしやかに主張する人がいまだにいるわけですね。

どこの鉄道会社が航空運送事業をやっているか教えてほしいものですね・・・。ケイパビリティ連続性が全くないので、鉄道事業をやっている会社が航空運送事業をやっても、おそらく失敗します。ただ、こういう考え方で新規事業を提案するコンサルタントやスタッフは未だに存在しています。

ケイパビリティの連続性がないことをいくつも立ち上げて回せる天才はそのへんに転がっていないですし、普通の人は真似すべきではありません。

ただ、想いベースで連続性があるように思えるから危険ですよね。「私たちは、お客様をお運びすることに幸せを感じるんです!だから、鉄道だけじゃなくて、航空機もやりましょう!」とかピュアな目で言われると、これ以上嫌われたくないので、何も言えなくなってしまします。

ただ、多くのスタッフやコンサルタントによって作られた提案をレビューしていると、頭をそっくりそのままどこかの本に預けてしまったようなものばかりであることに切なくなります。大事なのは思考の蓄積であり、考え抜いたことなのです。どこかから適当にアイデアを持ってくることではありません。

戦略についての本や文章を読む意味は、文章を読みつつ自ら考えて、誤解をはらみながらもいろいろ考えたりやったりしてみて、理解に近づくことだと思います。。

ただ、本にはこういうことは書けないですし、好き勝手なことを書くと鬼のような編集者の方に相当添削されてしまうでしょうから、ここで好き勝手に書いてみようと思った次第でございます。

本当に100個書くかわかりませんし、いつまで続くかわかりませんが、ご興味があればお読みいただけると幸いです。それでは今日はこのあたりで、次回をお楽しみに。

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