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副業という言い方はやめろ タニタ社長に聞く「社員の個人事業主化を始めた理由」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月13日 13時41分

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タニタの谷田千里社長

 体重計や体組成計など健康計測機器の大手メーカーのタニタは、2008年に創業家3代目の谷田千里氏が社長に就任して以降、社員の働き方を中心とした組織改革を断行している(関連記事「組織改革したくば、まず味方を探せ タニタ3代目が明かす“幹部との全面対決”」参照)。

 その最たる取り組みが、17年から取り組んでいる社員の個人事業主化だ。タニタではこれを「日本活性化プロジェクト」と名付けた。この取り組みは希望した社員を雇用契約から業務委託契約に切り替え、個人事業主となって仕事を継続してもらうもの。元社員にとってはタニタ以外の会社で並行して働けることや、個人事業主化することによって手取り金額が増えるメリットがある。

 大手の会社として画期的な取り組みであり、電通も21年から同様の制度を導入した。ただし、電通は40代以上のミドル世代をターゲットにしているのに対し、タニタは対象世代を特に設けていない。

 なぜ、社員を個人事業主に転換して関係を続けようとしたのか。どのようなきっかけからこの仕組みが誕生したのか。背景と現状を谷田社長に聞いた。(河嶌太郎、アイティメディア今野大一)

●「経費算入で手取り増やし」ばかりに 本来の目的は?

――タニタでは希望する社員を個人事業主化させる取り組みを17年から始めています。施行から7年目となりましたが、いかがでしょうか。

 当初はうまくいっていたのですが、今では「日本活性化プロジェクト」の本質とは異なる利用が増えてしまっています。もともとは働き方の選択肢を広げ、主体性を持って働いてもらうことが狙いだったのですが、個人事業主化によって、自分の使っている金額を経費にすることで、手取り金額を増やすことに主眼を置き、本来の目的が疎かになってしまっている人が増えています。いうなれば、考え方がサラリーマン化してしまっているんですよね。

――社員から個人事業主になった人はどれくらいいるのでしょうか。

 1期生が8人でスタートし、今では社員から個人事業主になった人が累計で34人います。

――社員の個人事業主化を始めたのはタニタが初めてだと思います。どういった経緯から始めたのでしょうか。

 とても優秀な総務課長の方がいたのですが、その人があるときに辞めることになったのですね。それで、その総務課長を飲みに誘って「何が足りなかったのかを教えてほしい」と事情を伺うと、退職する主な理由が介護だったのです。親の介護のため、毎日の出社が難しいと言われました。

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