家電業界に“黒船”本格参入 コスパ重視「Comfee’」が日本を“狙い撃ち”した理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月14日 12時49分
Comfee’の“激安”家電
日本での家電メーカーの勢力図が塗り変わるかもしれない。
世界的大手家電メーカーの中国「Midea Group(美的集団)」が擁する家電ブランド、「Comfee’」が日本市場へ本格参入した。シンプルな機能と直感的な操作性を売りにする同ブランド。2019年に日本でもオンライン販売を始めていたが、24年からは実店舗での販売をスタートし、オンライン販売網も強化する。
日本の白物家電市場に参入している「中国4大メーカー(Haier、Hisense、TCL、Midea Group)の中で、2027年までにマーケットシェアとオンライン販売シェアで1位獲得を目標」(日本美的の斉心氏)に掲げる。
かつて世界の市場を席巻した高品質、高性能のモノづくり大国・日本の電気製品が世界で売れなくなった代わりに、韓国や中華系メーカーが台頭した。すでにシャープや東芝など日本の大手家電メーカーの家電部門が中華系メーカーに買収されてしまっている。
2016年に東芝の白物家電事業を買収したのもMidea Groupだ。1990年ころを最盛期に、徐々に下り坂になった日本の家電が世界で売れなくなった背景には大きく2つの理由がある。
●技術力は海外流出 ガラパゴス化した日本企業
まず1つ目はガラパゴス化し、世界の需要に対応できなかった日本メーカーの姿だ。
『日本の電機産業はなぜ凋落したのか 体験的考察から見えた五つの大罪』(集英社新書)によれば、製品の均一化が進み価格競争が激化する中でも、高付加価値を付ければ高価格でも売れるだろうというメーカー寄りの都合があった。
国内では日本ブランドへの信頼があって売れたとしても、海外では必要最低限の機能という簡易かつお手頃価格の需要が高かったので通用しなかったのだ。世界の中でユニークな家電製品があふれる日本市場は、独自の生態系を持つ島になぞらえてガラパゴス市場と呼ばれ、世界の本流から外れていった。
2つ目が、早い段階から日本の技術が海外に流出してしまったことだ。コスト削減のために海外で部品を生産するだけにとどまらず、しまいには海外で完成品までの製造過程を任せるようになってしまった。
Midea Groupにしても、1999年に東芝キャリアのインバーター技術を導入し、ビル用空調の開発に着手したことをきっかけに、わずか15年で業務用エアコンのグローバルシェア1位にまで上り詰めた。OEMとして、アイリスオーヤマや東芝の家電を長きにわたって製造してきた実績もある。Comfee'においても、これまで日本企業の委託を受けて開発した技術を活用して、世界のニーズを捉えたオリジナル商品を生み出すに至った。
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