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なぜ、大阪王将“ナメクジ騒動”告発者は逮捕された? 意外と知らない「公益通報」のあれこれ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月22日 7時0分

 元従業員男性は記者会見や自身のYouTubeの告発動画などの場で、調理場の実態を店長やファイブエム商事幹部に改善を訴えても消極的だったと明かしている。

 SNSでの告発を受け、後日保健所による調査が実施されたが、結果的にナメクジや有害昆虫などは見つからなかったという。そのうえで市側は「調理場の清掃に行き届いていない部分があり、指導した」とコメント。食品衛生法に基づき清掃指導などをおこなったことを明らかにした。ただし当該調査は抜き打ちではなく、事前に調査日程が共有された上で実施されたこともあり、SNS上では「この間に徹底的に清掃しているのでは?」などと、結果の有効性を疑問視する声もあった。

 運営母体である大阪王将はその後、公式Webサイト上で謝罪し、問題が起きた仙台中田店と、同じくファイブエム商事が運営するもう1店舗を当面の間、臨時休業すると発表。翌月、大阪王将はファイブエム商事とのフランチャイズ契約を解除し、臨時休業中の2店舗も閉店することとなった。

●内部告発者が逮捕される事態に

 それから約1年半が経ち、騒動の記憶も薄れていた頃、新たな展開があった。

 23年末にファイブエム商事側から被害届が提出され、捜査の結果、告発者の元従業員男性は「会社が運営する飲食店が不衛生であるかのような内容をSNSに投稿し、会社の業務を妨害した疑い」によって警察に逮捕された、との報道が飛び込んできたのだ。

 この展開にはネット上でも「内部告発は事実だったのに、なぜそれで逮捕されるの?」「会社に訴えても改善されなかったから告発したのに、それをSNSで書くと威力業務妨害になるの!?」「公益通報した人は保護されるんじゃないのか? これじゃ不正の内部告発できなくなる!」などと、困惑する人が続出する事態となってしまった。

 この知らせがあった当時はまだ逮捕されただけの段階であったため不明点も多かったが、元従業員が逮捕時の罪状(威力業務妨害)とは異なる「偽計業務妨害罪」で起訴されたことで、本件の「告発者側の問題点」がようやく明らかになった。

●元従業員の告発は、何が問題だったのか?

 では、何が問題だったのか、そして公益通報で保護されるはずの元従業員はなぜ刑事告訴されてしまったのか。報道当初にネット上でよく見られた誤解を解きながら解説していこう。

「内部告発者を訴えるなんて、大阪王将は酷い会社!」

 内部告発した元従業員を威力業務妨害で訴えたのは「大阪王将」ではなく、「大阪王将 仙台中田店」をフランチャイジーとして経営していた宮城県仙台市の「ファイブエム商事」である。

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