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賃上げの波、中小企業や非正規労働に届かず 大手の「満額回答」とギャップ色濃く

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月25日 7時0分

●労働組合がない企業は蚊帳の外?

 そして、大幅な賃上げや昨年を上回ったといっても、大前提として、賃上げは労働組合がある企業に限定された話にすぎないということだ。日本の労働組合の組織率は16.3%と低下傾向にある。しかも1000人以上の企業の組織率が約40%を占めるのに対し、中小企業は1%程度にすぎない。

 また、非正規労働者は雇用者数の約37%を占めるが、パート労働者の組織率は8.4%にとどまる。

 労働組合がなければ組織的な賃上げ交渉はもちろんない。特に厳しいのが、非正規労働者だ。非正規労働者の多くは労組のない企業に勤務し、労組があっても正社員組合から排除されている人も多い。そうした非正規労働者が個人で加盟する個人加盟ユニオンの23労組でつくる「非正規春闘2024実行委員会」が発足し、賃上げに取り組んでいる。

 全体で組合員約3万人が参加し、賃上げ率「10%以上」を統一要求に掲げ、個々の労組が勤務する120社に対して1月末から2月下旬にかけて要求書を提出し、交渉を開始している。業種は幅広く、小売業をはじめ飲食、語学学校、学校法人、コールセンター、物流、製造、介護など多岐にわたり、企業規模も大企業から中小零細企業まである。

 しかし、状況は厳しい。実行委員会が3月上旬に実施したインターネット調査(回答数264件)によると、8割以上の非正規労働者が「今年1月以降に賃金の引き上げはされておらず、その予定も伝えられていない」と回答している。

 一方、「今年1月から現在までの間に賃金が引き上げられた」「今後の賃金引き上げの予定を伝えられた」と回答したのは15%にとどまっている。大企業の大幅賃上げの裏で多くの非正規がインフレを下回る低賃金を余儀なくされている。

 また、実行委員会の各労組は1月末から2月下旬にかけて要求書を提出し、交渉を開始したが、一次回答はゼロ回答ないし低額回答も多かったという。納得のいく賃上げではないとして、15社に対して組合員約500人が3月下旬にかけてストを決行、今も交渉が続いている。

 今年、賃金が上がるかどうかは、これから本格化する中小企業の労使の交渉をはじめ、中小企業の動向だろう。日本・東京商工会議所が2月14日に公表した「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」(参考リンク:PDF)集計結果によると、2024年度の賃上げについて「賃上げを実施予定」と回答した割合は61.3%と、6割を超えている。現時点では未定と答えた企業も34.7%もある。賃上げ実施予定の企業は23年度の同時期の調査の58.2%から3.1ポイント増加した。

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