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スタートアップへの“無担保融資”が最大7200万円に 巻き起こる「VC不要論」は妥当か

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月22日 7時15分

 また、ディープテックやAIなど、特定の分野に特化したVCファンドを設立することで、専門知識とネットワークを生かした支援が可能になる。スタートアップは、より専門的かつ効果的なサポートを受けられる。

 いわゆる「スタートアップ村」へのブランディングも必須だろう。近年では、リアルのイベントやSNSでのコミュニティーを中心に、これまではベールに包まれてきたスタートアップやVCに関する知識・リテラシーの交換が活発となっている。中には、創業者のリテラシーの乏しさにつけ込んで、低い時価総額で大量の株式を放出させたり、失敗した時に投資先に株式を買い戻すよう迫る投資家の存在も報告されている(筆者個人としては、そのような投資家は、投資先が成功した時に株式を簿価で返してくれるのか気になっている)。

 結論として、VCが生き残るためには、付加価値のみならずスタートアップ村で“八分”にされない誠実さも求められてくるだろう。

 スタートアップが直面する主要な課題は、資金調達、人材確保、市場進出の3つに大別される。これらの課題に対する解決策として、事業会社が投資するコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)という形態では、バーティカルSaaSのような特定の分野に特化したスタートアップに対して付加価値をつけやすい。例えば、レンタルスペースの「スペースマーケット」と同社に投資した「東京メトロ」のような関係が挙げられる。資金力と特定分野に特化したCVCの存在は、スタートアップ投資の文脈でより存在感を高めてくるだろう。

 日本政策金融公庫の融資制度拡大は、日本のスタートアップエコシステムにおける資金調達環境を改善する一方で、VCの役割を再考させる契機となりうる。VCは単なる資金提供者としての役割を超え、スタートアップに対して多角的な支援を提供することが求められるだろう。

 VCが生き残るためには、スタートアップの成長と成功を加速させるための戦略的なパートナーとしての価値を強化し続ける必要があるだけでなく、誠実さも求められそうだ。とはいえ、これからもシード期のVCは、イノベーションの促進者として、日本のスタートアップエコシステムの活性化に不可欠な役割を果たしていくだろう。

●筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCEO

1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CEOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら

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