1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

中国系企業が日本の“再エネビジネス”に食い込む 「透かし騒動」から見る実態

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月12日 7時20分

写真

再生可能エネルギーをめぐって、不穏な動き

 3月23日、内閣府規制改革推進室のX(旧Twitter)への投稿が大変な物議になった。「再生可能エネルギータスクフォースについてご報告です」という投稿で、2023年12月25日と24年3月22日に開かれた会議で提出された資料に、中国企業のロゴマークの透かしが入っていたことが指摘されたと報告したのだ。

 再生可能エネルギータスクフォースとは「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」のことで、20年に河野太郎・内閣府特命担当大臣(規制改革)の下で、再生可能エネルギーの規制などを総点検し、必要な規制の見直しを促す目的で設置された。その会議に有識者として、再生可能エネルギーを推す民間団体から参加した大林ミカ氏の資料に、中国の電力会社である国家電網公司の企業名やロゴの透かしが入っていたため、政府の会議に中国企業の影響が及んでいるのではないかと騒ぎになった。

 大林氏によれば、自身が事業局長を務める自然エネルギー財団が過去に開いたシンポジウムで使われた中国側の資料のロゴが入り込んでしまったのだという。

 この「中国企業ロゴの透かし問題」では、中国企業が世界的に高いシェアを誇る太陽光パネルや風力発電などにからむビジネスを、中国政府などが日本でも推し進めようとしているのではないかとの指摘が出ている。また、中国が、自分たちの思惑に沿った主張をするように、自然エネルギー財団を裏で動かしているのではないかといった声すら聞かれる。

 さすがにそれは言い過ぎだろうが、現実には、中国エネルギー系企業がかなり日本に入り込んでいることは事実で、自然エネルギー産業が拡大すれば、中国企業のさらなる利益になるのは確かだ。

 筆者は、この騒動の前から自然エネルギーについて取材をしている。そして、実はいま、日本のエネルギー分野では中国の企業がかなり活動しているという情報も得ている。本稿では、日本国内に浸透している中国エネルギー系企業の実態に迫ってみたいと思う。

●中国企業から狙われる「買取制度」

 日本のエネルギー分野が中国企業に狙われるようになった要因の一つは、何と言ってもFIT制度だ。FIT制度は12年に始まったもので、「再生可能エネルギー固定価格買取制度」と呼ばれる。太陽光などで発電すれば、政府が定めた価格で一定の期間にわたって電気を買い取ってくれる。

 この政府による買取費用の一部は国民が負担している。毎月の電気料金に含まれる「再エネ賦課金」がそれだ。多くの人が自覚のないまま徴収されているのである。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください