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シェアサイクルはどう変わる? 高価格化と公益性に揺れるHELLO CYCLINGの葛藤

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月1日 15時19分

――1月末からは千葉市やさいたま市など、一部地域で特定小型原付に分類される電動サイクルの導入も始めています。キックボードタイプではなく、原付のように座ってアクセルを回すタイプでしたが、どんな意図からなのでしょうか。

 欧州で電動キックボードの導入が進んだ中での傾向として、立ち乗りのキックボードタイプだと頭部における重篤な負傷が多いという文献がありました。主な要因としては、重心の高さや車輪の径の小ささ、そして展開性能の小ささなどによって、前のめりに体が投げ出され、頭を打つ原因となっています。こうした事故を防ぐ目的としても、座り乗りタイプの車体にした経緯があります。

――電動サイクルに限らず、シェアサイクルによる事故も当然起きていると思いますが、どのような対応を取っているのでしょうか。

 自転車として、交通事故は発生しています。保険会社の調査結果などを分析し、どういった事故が起きているのかのデータも取っていますが、ここにおいて一般の自転車が世の中で起きている事故と、特に何か違いがあるわけではありませんでした。

 事故防止に際しての注意事項は所有する自転車と同様であるため、ハローサイクリングでも新しく利用するユーザーさんに対してアプリ上で交通ルールテスト実施する、交通安全ガイドブックを配布するなど啓蒙活動をしています。

 電動サイクルはまだ新しいカテゴリーである特定小型原付です。現時点では事故や違反は発生していませんが、自転車にはなかった事故が起きる可能性を考慮し、慎重に車体の投入と検証をしています。事故の重篤化を防ぐ上で、利用状況の分析や調査を進め、対策を講じていきます。

――公共交通機関との価格差で利用を決めるユーザーもいると思います。価格設定について、どうお考えでしょうか。

 シェアサイクルは二次交通機関として、公共交通に準じる考え方がありますので、その地域の公共交通機関の水準に合わせるべきだとする側面もあります。16年のサービス開始からこれまで2回値上げをしているのですが、ユーザーの離脱は一桁%で、ほぼ利用を継続していただいています。

 近年のインフレに対してはまだ安いとする意見もある一方で、公共交通機関の価格は上げることが難しい側面もあります。ですので、シェアサイクル全体を値上げするのではなく、ハイスペックな車体を高単価帯で配備し、選択できるような取り組みもしています。実際に配備を進めているのが「e-bike」タイプと呼ばれる、クロスバイクの電動アシスト自転車です。まだ比率は低めなのですが、スポーツタイプの自転車なので、シティサイクルタイプにはない疾走感が得られるのが特徴です。

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