1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

シェアサイクルはどう変わる? 高価格化と公益性に揺れるHELLO CYCLINGの葛藤

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月1日 15時19分

――岡崎市はYouTubeチャンネル「東海オンエア」の拠点になっていますね。

 東海オンエアは岡崎市の観光大使にもなっていて、実際にシェアサイクルに乗って街の中を案内する動画もあります。すると、ファンが岡崎市を訪れて、東海オンエアと同じルートを走る動きが多数あるようです。

 他にも東海オンエアのマンホールが市内に複数設置されているので、これらを全部「巡礼」する利用者もいますね。また、岡崎市は徳川家康公生誕の地でもあるので、家康公や四天王がラッピングされた車両もあり、岡崎城などの観光地を巡る方もいます。そのため、岡崎市は国内でもトップクラスの利用頻度となっています。

――「聖地巡礼」に限らず、観光との相性がいい乗りものですよね。

 実はシェアサイクルで一番ロングライドされたのも「聖地巡礼」関連になります。その距離は千葉市の海浜幕張駅から兵庫県西宮市の西宮北口駅まで、実に500キロ以上の移動距離になります。

――なんでこんなに長距離になったのでしょうか。

 埼玉県所沢市に本社を移したKADOKAWAとのコラボ事業として、『涼宮ハルヒの憂鬱』のキャラクターをラッピングした自転車を50台限定で所沢市に提供しています。この「限定自転車」を借りたファンが、『涼宮ハルヒの憂鬱』の「聖地」である西宮市まで移動し、現地で返却したものになります。 全行程を漕いで移動したのではなく、主にフェリーに自転車を乗せて、四国を経由して旅していたようですね。

――ファンの行動にも驚きですが、返却地に制限がないのも驚きです。

 エリアで区切る場合もあるのですが、基本的には特に塞いでいないので、全国どこでも返却できます。この自転車は西宮市の現地でもファンから愛されていたので、かなりの利用がありました。今では東京のほうに戻ってきています。われわれ運営側としても、ハルヒ自転車だと分かるように自転車の表示を変えたので、「公式遊び過ぎ」だとファンからもつっこみが入ることもありました。こういったファンコミュニケーションがシェアサイクルで発生するとは想定していなかったので、利用者に愛されるサービスとなれたことは、うれしく感じています。

――これからもエリアを拡大していくと思いますが、シェアサイクルは今後どのようになっていくのでしょうか。

 シェアサイクル市場の定義として、弊社が独自に人口や車の交通分担率などから試算して、展開ターゲット地域を設定していました。このうち、多くの自治体はシェアサイクル事業者と連携を結んでいる状態になりました。今では、自分達から営業を持ちかけるのではなく、どちらかというと「導入したいです」という要望をいただき、対応する形が多くなっています。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください