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「東京湾アクアライン」6車線にすれば“渋滞”は解消するのか 課題は他にある

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月19日 6時10分

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「東京湾アクアライン」の渋滞、なんとかならないのか

 東京湾アクアラインは、千葉県木更津市と神奈川県川崎市を東京湾上の橋と海底トンネルで結ぶ自動車専用道路である。1997年の開通当初は通行料金の高さで利用者数が伸び悩んだが、国と千葉県が補助することで通行料金を大幅に引き下げ、木更津にアウトレットモールが開業したこともあって、一気に利用者数が伸びた。

 海上のパーキングエリア(PA)である「海ほたる」も人気スポットとなり、週末は渋滞の名所としても有名になってしまった。しかも構造上、ひどい渋滞となっても迂回(うかい)したり、途中で一般道へ降りたりできないため、ひたすらジリジリと進むのを耐えることになる。

 東京湾アクアラインは全長15キロほどの東京湾横断道路であるが、全てを海底トンネルとしてしまうと工期が長くなるだけでなく、建設費も跳ね上がってしまう。そのため全体の6割を海底トンネル、残り4割を橋とすることで建設費を抑え、大型客船の通行も可能とする横断道路となったのだ。

 計画当初は川崎側も橋を作り、中央部分を海底トンネルとする構造が検討されていた。しかし、川崎側は羽田空港に離着陸する航空機のために高さ制限があり、また軟弱地盤のため、橋を諦め現在の構成となったとされている。

●アクアライン建設の直接的なメリットと間接的なメリット

 東京湾アクアラインは、建設が始まる前、実に20年間も研究や検討がされた。つまり、1964年に東京オリンピックが開催され、その数年後には東京湾横断道路という構想が始まっていたことになる。

 そして80年代後半には着工されたのだが、当時は首都高速湾岸線の東京ー千葉区間ですら全線開通していなかった(89年に東関東自動車道と接続)のに、早くもさらに長い海底トンネルを組み合わせた東京湾横断道路の建設が始まっていたことになる。

 当時はインターネットもなく、情報が乏しい時代だったので、東京湾横断道路の計画や建設については新聞などで報じられた程度で、一般にはほとんど知られていなかった。

 首都高湾岸線の東京港トンネルについては、80年に開通した海底トンネルとして話題になり、当初は走行するのも便利さより珍しさが勝っていた時代である。その頃には着々と東京湾横断道路の開通に向けた工事が進められていたのだ。

 現在、トンネルをシールドマシンで掘削していくシールド工法はトンネル掘削工事では一般的とされているが、アクアラインの計画時には最新の工法であり、実現に不可欠な技術として導入された。当初から困難が予想された挑戦的な計画だった。

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