1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「東京湾アクアライン」6車線にすれば“渋滞”は解消するのか 課題は他にある

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月19日 6時10分

 前述の海ほたるPAについても、直接海底トンネルと橋を連続的に結ぶのは構造的にも難しく、中間施設としての役割も兼ねて建設されたものだった。

 こうした技術的に高度な建築物は、日本の道路建設技術の高さを証明するものであり、鉄道やビル、ダムなどと併せて日本の建設技術の見本としても機能しているのである。

 フェリーに代わって短時間で自由に行き来できることや、木更津周辺から高速バスで都心への通勤を可能にしたことが直接的なメリットであれば、建築技術の高さを証明するというのは間接的なメリットと言えるだろう。

●渋滞の名所となった理由、解消策はあるか

 実はアクアラインには、鉄道やモノレールも載せる計画が当初はあったらしい。しかしその場合はシールド工法ではなく、コンクリート製の躯体(くたい)を作り、それを連結させて海中に設置する沈埋構造にする必要があった。

 建設費や工期、工事の困難さを考えると、鉄道やモノレールの需要はそこまで見込めず、バスで十分代替できるという判断に至ったようだ。その判断はおそらく正しかったのだと思う。

 結果として、木更津からアクアラインを使って高速バスで都内へ行く通勤が人気となっている。満員電車による通勤から解放されたと喜ぶ会社員の声も多く聞くが、千葉から都心への通勤電車の混雑緩和にも役立っている可能性がある。

 しかし渋滞している週末は、交通としての機能を著しく低下させてしまう。そのため、2023年7月には渋滞解消策の実証実験としてロードプライシングも導入され、週末と平日では通行料金に差が付けられるようになった。それでも、週末のみ1.5倍の1200円に引き上げられた程度である。

 これは「アクアラインは安い」と思って利用するドライバーが多いことから、渋滞が発生する週末に料金を引き上げることで走行台数を減らす効果を狙ったものだ。

 しかし実際にはアクアラインを通って千葉県に向かうドライバーは、アクアラインを走ることが目的ではなく、その先にある観光スポットやアウトレットモールなどで楽しむことを目的に利用するのだから、少々の価格変動ではアクアラインの利用を諦めることはないだろう。

 少なくとも木更津から東関東自動車道や京葉道路を使って東京に戻る料金(市川ICまで普通車で1600円)以上に値上げしなければ、渋滞は解消しないはずだ。それは東京ディズニーリゾートが値上げを繰り返しても来場者が殺到しているのと同じ原理だ。他に行くより満足度が高く、お得なのである。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください