「65歳定年」義務化まであと1年……企業がとるべき対策とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月8日 8時0分
(提供:ゲッティイメージズ)
国内の労働人口の減少に伴い、社会保障が持続可能であるのか懸念される中、いわゆる「65歳定年」導入の義務化が2025年4月に控えている。
これは、2013年に行われた高年齢者雇用安定法の改正によるものだ。定年を65歳未満に設定している企業は、定年を65歳まで引き上げたり、65歳以上までの継続雇用制度を導入したりといった措置が求められる。
なお、あくまで労働者が「希望する場合」に必ず65歳まで再雇用などを通じて就労機会を確保することを企業に要求するものだということには注意したい。労働者が希望しなければ、65歳になる前に離職することには問題がない。
この改正自体は2013年に行われているが、これまでは経過措置が適用されていた。しかし、年金だけでは老後が心もとない昨今、いよいよ2025年からは65歳を実質的に定年とみなすような施策が企業には求められる。ちなみに、同法上では努力義務であるものの、就労機会の確保は70歳までと定めている。コンプライアンス整備や社会的責任の大きい大企業や上場企業などにおいては、もう一歩進んだ対策が必要になりそうだ。
●企業が取るべき対策は?
企業はまず、高年齢者を対象とした雇用契約の条項を再検討し、必要に応じて更新する必要がある。現在、雇用契約の多くは60歳を定年とし、65歳までの継続雇用を盛り込んでいるが、就業規則や雇用契約を長らく見直していない企業では、60歳定年のみを定めている会社もあるだろう。そのような会社については、定年後も雇用を継続するための制度を設計し、導入しなければならない。
その際には労働条件の透明性を保ちつつ、高齢者のニーズに合わせた勤務形態を提供することも忘れてはならない。例えば、フルタイムから時短勤務、パートタイム、リモートワークなどの多様な働き方を用意することで、高齢者の体力やキャパシティーに応じた柔軟な雇用を維持する必要があるだろう。このように考えると、65歳以上の雇用を維持するに当たっては、定年を実質的に延長させるのみでは不十分であり、多様な勤務形態も合わせて導入する必要性があると考えられる。
また、高齢者がモチベーションを持って働き続けるために、賃金体系の見直しも検討すべきだ。特に、仕事のパフォーマンスが職務経験や培ってきた能力に依存するような業種の場合、定年を過ぎたことのみをもって直ちに大幅な給与削減を行うことはモチベーションの低下を招きかねない。企業には高齢者からの貢献を最大限に引き出す上で、公正な賃金設定を行うことが求められる。
この記事に関連するニュース
-
再雇用で「月収20万円」ですが、2025年から「手取りが減る」って本当ですか?「高年齢雇用継続給付」の縮小で、生活はどれだけ苦しくなるのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月3日 2時30分
-
「何で俺だけ年金が半分に減ってるんだ?」年金「月16万円」受給していた70歳・男性、通帳見せ合いっこで判明した「50万円の壁」に落胆のワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月27日 10時15分
-
うちの会社は60歳定年です。「再雇用で65歳まで働くと、給与は下がる」と言われたのですが、受け入れるしかないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月25日 23時0分
-
定年が70歳でも、60歳になったら「年金」をもらいながら働くことはできますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月25日 9時30分
-
「退職金が出ない会社」へ就職したら友人がドン引き…退職金が出る会社が当たり前なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月24日 4時30分
ランキング
-
1飲むヨーグルトが「乳酸菌バブル」でジリ貧の理由 市場は逆転寸前、かつての人気を取り戻せるか
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 7時20分
-
2東京から新幹線…「新神戸」よりも、一駅先の「西明石」まで買った方がおトク!? JR往復割引「601キロ」のカラクリ
まいどなニュース / 2024年5月19日 8時2分
-
3ラーメン屋経営で地獄見たプロレスラーの気づき 川田利明が向き合う「お客様は神様です」の怖さ
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 12時30分
-
4ローソン、コーヒーなどの「濃さ」選べる仕様に 背景に“客離れ”回避
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月19日 8時0分
-
5広がるタッチ決済乗車は訪日外国人観光客対応か 話題の「二重価格」が鉄道・バスに導入される可能性
NEWSポストセブン / 2024年5月19日 7時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください