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SDVで「ニッポン出遅れ」論が意味すること

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月22日 7時12分

 ソフトウエアファーストの例としてよく持ち出されるのはアップルのiPhoneだ。「OSのアップデートによってどんどん新しい機能が追加されていく。それこそがSoftware Definedの世界である」。そう説明される。ああ、なるほどねと思う人もいるかもしれない。

 しかし、考えてもみてほしい。そのアップルは毎年毎年新型のiPhoneを発表する。なぜソフトウエアで新しい機能が追加されるというのに、頻繁に新しいハードウエアを出さなければいけないのだろう。ソフトウエアがハードウエアを制御するものである以上、ハードとソフトはあくまでも一対両輪の関係であって、片方だけでは成り立たないからだ。

 端的な例を挙げれば指紋センサーのない機種に指紋認証ソフトをインストールしたところで機能するはずはない。例えば顔認証はどうだろう。iPhoneの顔認証機能では、近接センサーが反応して赤外線ビームを照射、人の顔の凹凸からの反射を赤外線センサーが捉えてインカメラと併せてデータと照合、本人の顔かどうかを認証する。当然ソフトウエアだけで成立する機能ではない。iPhoneのOSであるiOSの場合、数世代前のハードウエアまでカバーしてくれるのが強みではあるが、最新のiOSのフル機能を使えるのは原則的に最新世代のハードである。だからこそ人々は毎年毎年新しいiPhoneの登場に注目するのだ。

 このように、機能の実現にはソフトとハードの両方が必要だ。それはごく当たり前の話である。ソフトを軽視していてはいけないという話であって、Software Defined Vehicleにおいては、ソフトがハードより偉いという理解は間違っている。

●車載OSは確かに重要だ

 そもそものところに戻れば、コンピュータにとってのOSとは、“多くのアプリが共用する機能をひとつひとつのアプリプログラムに重複して持たせるのは無駄なので、別階層の汎用ソフトウエアとして標準化”したものである。

 プレゼンソフトでもワープロでも表計算でもデータベースでもデザインソフトでも、モニターに何かを映し出すこと抜きにはユーザーは利用できない。警告音を含めた何らかの音も必須だ。そもそもキーボードやマウスなどのインタフェースも無くては操作ができない。あるいは記憶装置だってないとどうにもならない。なのでそれら共通性の高い部分を統合して汎用化したものがOSなのだ。

 少なくとも昔のWindowsは、電源を入れるとまずマザーボード上のROMに書き込まれた第1段階のコンパクトなプログラムであるBIOS(現在でいうUEFI)が走って、最低限のハードウエアが接続されているかどうかをチェックした。例えばキーボードが接続されていないと立ち上がらない。そうやって第一にまずハードウエアのチェックをしてから、どこのドライブにシステムを読みにいくかの段階に入り、手順を踏んでOSがようやく立ち上がる。ハードウエアは最優先チェック事項なのだ。それはハードが重要であることの証拠でもある。

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