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「ソリューション営業」はもう古い! これからの時代に求められる「インサイト営業」の有効性

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月7日 8時0分

(患者の心の声):このアプローチなら、本当の原因に対処できそうだ。眠れない夜と頭痛に別れを告げられるかもしれない。希望が見えてきた!

患者:その提案、とても興味があります。ぜひ詳しく聞かせてください。

 このように、ソリューション営業が単に症状の緩和に焦点を当てるのに対し、インサイト営業は患者の生活全般を考慮に入れ、より根本的な問題に対する洞察を提供。患者のライフスタイルやストレスレベルを詳しく把握し、症状の原因を探り、適切な解決策を提案しています。

 このアプローチにより患者は自分の状況に対する理解を深め、長期的な改善への道筋が見えてきます。患者は医者の提案に対して希望を抱き、積極的に協力したいと考えるようになるのです。

●「インサイト」とは何か

 そもそも「インサイト」とは何なのでしょうか? マーケティングやデザイン思考では、“これまでにない新しい視点での物事の見方”、“言葉に表れていない本音”を指します。

 セオドア・レビット氏が提唱する「ドリルの穴理論」で、「顧客はドリル自体を購入したいのではなく、ドリルで穴をあけることが目的。つまり、製品を売るのではなく、顧客がその製品を使って達成したい目的や解決したい問題に焦点を当てるべきだ」と主張しています。これは製品中心から顧客中心へとマーケティングのパラダイムをシフトさせるものでした。

 しかし、現代ではこの理論だけでは不十分な気がしています。“顧客の顧客”である消費者の行動、生活様式、世代による価値観の違いがあらわになり、デジタル技術の活用が進む中で、顧客の潜在ニーズを超えた「深いインサイト」を得ることが重要になってきています。単に顧客ニーズを満たすだけではなく、感情的、社会的、心理的なニーズにも応える必要がでてきたのです。

 これらは本質的な欲求であると同時に、顧客自身が認識できていないことがほとんどです。例えば、DIYをしたいというお父さんに「なぜ、 DIYで棚を作りたいのですか?」と聞くと「趣味だからです。休日の晴れた日にガーデニングを楽しみたいからです」など、自覚している感情や欲求のみ語られる場合がほとんどです。もう少し、そのお父さんに共感し、その背景に思いを巡らせると「ガーデニングの棚を自作したという充実感」「植物の成長をわが子のように見守る親心」など、インサイトを捉えることができます。

 インサイトを捉えることで、潜在ニーズを顕在化し、結果として行動の変化を促すことになります。自覚している潜在ニーズは、深堀り質問で顕在化できますが、自覚がない潜在ニーズはいくら聞いても出てきません。ですから、顧客との面談や現場で起きているファクトを通して、インサイトを自ら作り出す必要があるのです。

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